※追記※

このお話の続編ができました!!

詳しくは一番下に書きましたので、ご覧ください♪


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前記事で、Skoop On Somebody についてふれたんですが

そこからS.O.Sを聴いていた!という、艶友のカヲリ@thomasさんより、リクエストなんてものをいただきました!

大したものも書けない私が、リクなんて受けていいのか…と正直思いますが

私も大好きな歌だったので、失礼を承知で書かせていただきます

Skoop On Somebody の“線香花火”という歌をモチーフに…


時代背景は現代、二人が戻ってきてからというお話です

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俺たちは、夜の公園にいた

手に、花火を持って…



“現代”に戻ってきてからというもの、○○は心ここにあらずといった日々を送っていて、覇気もなく、ただただ作り笑いを浮かべながらやり過ごしている感が否めない

忘れられないのだろう

それは俺もわかっている

俺だって忘れられないから


学校が休みだった今日の午後、○○を散歩に連れ出した

そうでもしないと、アイツは家の中で塞ぎこむばかりだった

ブラブラと街を歩いていると、○○は突然立ち止まり、その店先に並んでいた花火に目を留めていた

「花火…今夜やってみるか?」

そう声をかけると、花火から目を逸らさずに、小さくひとつ頷いた




たくさんの手持ち花火があった中で、○○が選んだのは線香花火だった

用意した蝋燭から、花火に火を点す

小さな小さなオレンジ色の光が少しずつ玉を膨らませ、やがて花びらを散らせる

わずかな風にでも揺れて落ちてしまいそうなそれを、○○は手のひらで大事に大事に庇っていた

少しでもその命を永らえるように…


花火は次第に小さくなり、静かに静かに、その終わりを迎える

『あっ…』

そよ風にでさえかき消されそうなくらい小さな叫び声を、○○が上げる

「まだあるから…ほら」


ひとつ手に取り、新しく火を点す

芯の玉が大きく膨らみ、やがて優しい火花を散らす

その火花はやがて柳になり、散り菊に移り変わると、○○の目に大きな涙の粒が浮かんでいた

『…っく』

次第に嗚咽を漏らしながら肩を震わせる



こんなときなのに

コイツはまだ、こんなにあの人のことを想っているのに

俺はコイツを奪ってしまいたいと思っている

コイツの中は、まだあの人でいっぱいだというのに

―ダキシメタイ―

自分のものにしてしまいたいと思う俺がいる


でも、それはできない

花火が消えぬよう、ずっと手をかざしているコイツを、ただ見守ることしかできない

少なくとも、今はまだ…




俺は1本手に取り、先端をそっと○○の持つ花火の先に近づけた

その花火から、“命”をもらう

そして俺の花火から、○○はまた火を点す

交互に交互に

そのオレンジ色の灯りが消えることがないよう…



それはまるで

俺たちがいたあの幕末で

あの人の運命を変えようとした、○○と俺の小さな小さな抵抗のようで

少しでも命を永らえようと奔放したあの日々を思い出させた

定められた歴史の中で、儚くも散っていくものとわかっていながら

それが変わるのを覚悟の上での、俺たちの“抵抗”だった




やがて花火は最後の1本になり、その散り菊が静かに終わりを迎えたとき

『…っ…さん…』

○○は小さくあの人の名を呼び、再び嗚咽を漏らした



オレンジ色に点された小さな空間が消え、再び闇が訪れる

○○の心の中も、まだ闇なのかもしれない



あの人の存在はきっと、月日が流れてもコイツの中から消えないだろう

でも、今の○○を愛しいと思うのは、あの人が心の中にいるコイツなんだから

あの人もひっくるめて、俺はコイツを愛しんでいくのだろう



そしていつか、コイツの心にもう一度、この線香花火みたいなオレンジ色の灯りが灯るまで

俺は傍にいる

ただ、傍にいよう

願わくば、その灯りを灯すのが俺であればいいと思いながら…





―線香花火【結城翔太】・完―



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線香花火/Skoop On Somebody



興味のある方は、よかったら聴いてみてください♪

素敵な切ない曲です




※追記※

このお話に、艶友で素敵作家の寿々花さんが、なんと続編を書いてくださいました!!!

とってもとっても素敵なお話です


…と、リンクを追加しようと思ったら、うまく貼れなかったorz

新しいタグエディタはまだ使いこなせない…

コメ欄に、寿々花さんがコメントしてくださっています

そこから寿々花さんのブログ

<すず日和>の中の、

2人のDIFFERENCE


を、ぜひぜひご覧ください♪