以前書いた、はつ恋【結城翔太】 の続編です
水エンド後をイメージしてもらえると嬉しいです♪
ネタバレも含みます！スミマセン！！
知りたくない方はどうぞ回れ右！でお願いしますorz
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チチチチチ…
庭の木に留まる鳥が、いつものように朝を告げる
床を抜け出し、縁側に出て朝の空気を吸い込む
昨晩の雨が上がり、草木に残る雨粒が、朝日に照らされてキラキラ輝いている
彼と一緒にこの時代にやってきて
その意味を模索しながらも自分達なりに“命を張って”生きてきた
出会うはずのない人たちとの、かけがえのない出会い
身を切られるような別れ
そしてここに留まることを選んだ私達は、そんな出会いと別れの延長上に暮らしている
彼…翔太さんは、あれから新政府の役人として忙しく駆け回る毎日を過ごし
私はそんな彼を、一番近くで支え、見守る“妻”になった
結婚して、呼び方も“翔太さん”に変え、そんな小さなところから、彼の妻になったことを実感する
朝餉の支度をする前に、ちょっと庭に出てみた
縁側には、彼と私の草履
自分の草履に足を通しかけて、ふと止めた
そして、素足を彼の草履に通す
足の小さな私には、まるで子供が履いているような格好
足を少し上げて、草履をぶらんとしてみる
『ふふふ…ぶっかぶかだぁ』
思わず笑いがこみ上げ、くすくす笑っていると…
｢人の草履履いて、朝からなに一人でニヤニヤしてるんだ｣
『…っ！！翔太さん！』
いつの間にか起きてきていた彼が、私の後ろで見下ろしていた
『あ…お、おはようございマス…』
｢ああ、おはよう｣
そう言って、私の隣に腰を下ろす
｢昔…さ、｣
『え？』
ふいに彼が遠くを見ながら話しだした
｢子供の頃、お前、俺の靴が羨ましくて、無理矢理履いたことがあっただろ？｣
そういえばそんなことがあった
彼の真新しい靴が羨ましくて、私には大きかったその靴を無理言って履いてそのまま外に飛び出して
いきなりつまづいて勢いよく転んでしまったんだ
｢お前は膝を擦りむくわ、靴は飛んでいくわで｣
彼が思い出してくっくっと笑う
そうだったなぁ、“あの時代”で
あの時代…
私たちが元々いた現代
今、あの時代では、私たちの存在はどうなっているんだろう…
私たちがここに残ったことで、教科書に載らない、小さな小さな歴史が変わってしまっているのかもしれない
お父さんやお母さん…どうしているだろう
どう思っているだろう
もしかして、私たちは、いなかったことになっているのかもしれない
自分が子供を持つ親になったことで、お父さんとお母さんの思いが、今まで以上に優しく、そして痛く感じる
そんな私の考えを察したのか、彼は、
｢あの時代の俺たちは、もういないのかもしれないな｣
相変わらず遠くを見ながら、そう呟いた
｢俺たちはもう、あの時代に戻らない ここに留まることを、自分達で決めたのだから｣
｢でもな、きっと俺たちの子孫が何らかの形で、あの時代に辿り着くだろう
龍之介はその最初の希望だ｣
まだ部屋で寝ている愛しい息子に向けて、彼が言う
｢永い永い時を経て、もしかしたら俺かお前の両親の元に、俺たちの子孫が生まれるかもしれないしな｣
彼の言葉に、言いようのない嬉しさと希望が胸の中に湧き上がる
『本当にそうなったら…
これから私たちがこの時代で生きていく、過ごしていく時間は、あの時代への…未来への帰り道なのかもしれませんね』
こんな言葉が自然と出た
彼は一瞬目を見開き、そして嬉しそうに微笑んで、私の肩を抱き、優しく抱き寄せた
｢なぁ、○○…｣
『なんですか？』
一瞬何かを考え込んだ彼は、
｢あの頃みたいに呼んでくれよ、俺のことを｣
あの頃みたいに…
結婚する前みたいに…
あの時代にいたときのように…
『翔太…くん？』
小さく小さく、恐る恐る呼んでみる
｢もう一度呼んで｣
『翔太くん･･･！』
その瞬間、私は彼の胸の中に閉じ込められた
力いっぱい私を抱きしめる
｢この時代に一緒に来たのがお前で、本当によかった…｣
私も彼の大きな背中に腕を回し、ぎゅっと力を込める
『私も…あの時も言ったけど、もう一度言うね
子供の頃からずっと傍にいてくれて…
ここに来てからもずっと守ってくれて…
翔太くんと一緒だったから、ここにタイムスリップしても怖くなかったよ』
彼は、ただ頷くだけだった
もう、それだけで十分だった
小さい頃から大好きで
“はつ恋”のこの人と、永い時間をともに生きていく
私たちが生まれた、あの時代へ向けて…
―未来への帰り道～続・はつ恋～【結城翔太】・完―
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はつ恋、ではじまったばかりの二人
続編で結婚しちゃってましたｗｗｗ
ぶっ飛びすぎたかな？ｗｗｗ
はつ恋にコメントをくださったちぇるし～さんの、
『お話の続きはいつ？』
という言葉に、図々しくも乗りました(￣∀￣)ｴﾍ♪←身の程を知れ