買い物に出かけ、たくさんの荷物を抱え店から出ると



ザァァァ…


『え?雨?』


なによ、今日雨降るなんて予報じゃなかったのに


もちろん傘なんて持ってない



両手にいっぱいの荷物


仮に傘を持っていたとしても、これでは差すことができない


店の軒先で途方に暮れる


雨は弱まるどころか強さを増し、止む気配がない


手もどんどん痛くなってきた


…もう、濡れても思い切って帰るしかないな


小さく息をついて、雨の中へ飛び込もうとしたその時…



キッ



見慣れた車が一台止まった


ウインドウが開く


「よかった、間に合いましたな」


『俊太郎さん…』


運転席からサッと降りた彼は、すぐさま私のところへ駆け寄り、持っていた荷物を受け取る


「傘を持って行かなかったから、迎えにきましたんや」


トランクに荷物を詰め込みながら、優しく微笑む


私も手伝おうと荷物を運ぼうとしたとき、


「あんさんはそこにおったらええ 濡れたらあかん」


私を気遣ってくれる優しい言葉だけで、もうその場から動けなくなる


荷物を全部積み終えると、リアシートから傘を1本取り出して、私に差しかける


そして助手席のドアを開け、


「ささ、濡れる前に乗り」


そう車の中へエスコートしてくれる彼は、どんなときも紳士的だ


結婚して何年経っても、彼の運転する車の助手席に座るとドキドキしてしまう


運転席に戻ってきた彼が、そんな私の様子を見て、


「わてが触れただけで、いつまでたってもそんなふうになるあんさんは、ほんにかいらしいなぁ」


そういって、私の頬を優しく撫でる


大きな、温かい優しい手


その手に少しだけ頬をあずける


そっと外された手の温もりの余韻に浸りながら、ハンドルを持つ彼の横顔を、見つからないようにそっと眺めていた







―優しい時間~古高俊太郎~・完―





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



昨日買い物に出かけたら、突然の雨に降られました


坊のオムツやらオシリふき(←箱買い)、食品などなど、荷物満載のところに

・°・(ノД`)・°・


自分の車で行っていたので、当然迎えなどありませんが


大変ですよね、こんな時って


主婦は強くたくましいです!

(^O^)/