国際ビジネスと英語 ~6月21日(水)~ | The New York Blog

国際ビジネスと英語 ~6月21日(水)~

(今日のネタは、一部の方は反感を覚えるかもしれませんが、正直に感じたことを書きます)



案件が二つほど動きだした。両方とも売却案件。(買収案件も一個あったのだが、ポシャってしまった)。


今回は、以前クローズに成功した売却案件と違い、両案件ともエージェントとして投資銀行を僕らが起用しているので仕事的には相当楽かも。(いないときは本当に大変だった。。。データルームやら、何から何まで我々がやる羽目になるので。まあ勉強の為にはいいんだけど)。


で、この売却案件の一つで、投資銀行の先にさらに日本の大手証券会社を絡ませることにした。アメリカの投資銀行が持っている日本企業のリレーションシップよりも、日系証券の方がリレーションシップが強い、との判断。



と、まあそれはいいんだけど。



今日のキックオフミーティングでちょっと考えさせられたことがあった。



日本との時差もあるので、散々揉めた挙句にやっと今日の午後6時にミーティングをセット。



NYにいる人間はファンドの会議室に集まり、東京やその他の地域の人はそこに電話会議で参加する、というセットアップ。



会議室には、我々(アメリカ人一人、僕)、我々のエージェントである投資銀行(アメリカ人二人)、日系証券のNY支店(支社?)の人間が集合(二人はアメリカ人。支店長は日本人)。


電話会議で参加したのは、売却される会社のCEO、そして日系証券の東京本社の日本人二人。部長クラスと、そしてそのセクターをカバレッジしている若手。そこにファンドの人間がもう一人電話で参加(アメリカ人)。


先ず驚いたのは、先方(日系証券会社)が全く自発的な準備をしていなかったこと。


こちらで作成し、事前に送付した潜在的な買い手リスト各社とのコネクションについても、モゴモゴしか言わない(おまけによく聞こえない、とか言われるし。そんなことは未だに経験もないのだが)。「あらやる手段を使ってコンタクトするが、今はまだ誰にコンタクトするか分からない」の一辺倒。


他に潜在的な買い手はあると思うか、という質問に対しては、セクターカバレッジの若手が代わりに答えたが、社名以外は全く分からないほどに英語が下手。。。おまけに声も小さい。


会議室にいる全員が、皆首を横に振ってしまった。


日系証券会社の日本人支店長も、最初から最後まで殆どしゃべらず。。。



なんなんだろう。


こういう質問を予想していなかったのだろうか。ここまで準備をしない、というのは認識が甘いとしかいようがない。



さらにもう一つ。


クロスボーダーでM&Aをやるのであれば、もう少し英語のうまい人間にやらせるべき。相手方の英語がよく分からないのでは、いつも時間に追われているような、NYで金融に携わっているアメリカ人は話す気もやる気も失ってしまう。


日本では、よく語学はツールであって、仕事の能力とは別物、ということがよく言われる。


その通り。



でも、国際ビジネスでは、発音のうまい下手ではなく、外国人と意思疎通がちゃんとできて、初めて相手として認めてもらえ、能力も発揮できるというもの。いわば、基礎能力ともいうべきもの。


日本には、やたら語学志向の人(特に若い人)もいるから、その戒めとしてそういうことが言われるのだろうか。


日本は国際経済に依存している割に、日本の一流企業といわれる会社でも英語があまりに不得手な人が多いと思う。英語が得意な人は全体として増えている筈であるにも関わらず、だ。



何故そういう人がこういう場面に少ないのか、分析すれば根が深そうな問題だから、この辺でやめとく。



目的意識なく英語だけ上達すればいいものではないが(そう思ってそうな人がNYにはいるので)、一方でボーダレス時代を迎えているのも確か。


結局、今日は1時間半以上のミーティングで、成し遂げたことはゼロ。


ネイティブ並みの英語力は必要ないが、せめて、海外の企業が日本企業と付き合うときは、日本の名に恥じないくらいの語学力や国際性を見につけた人と対面したいものである。そして、日本企業もそういう人材の育成に勤め、そういう人をそういう部門に配属してもらいたいものである。