島の奥へと進むと、立ち入り禁止の柵の向こうに円形のコンクリート跡が現れます。
そこはかつて、砲台が据えられていた場所。戦争の記憶を静かに刻むその空間は、どこか神聖な気配をまとっています。

 

 

 

島の端まで歩くと、波の音が近くなり、視界がぱっと開けました。
青く広がる海の先に、かすかに陸地が見える。
その穏やかな風景の奥に、この島のもう一つの顔――伝説の記憶が眠っています。

かつて日蓮上人が濃霧の中で迷い、この島に辿り着いたとき、
白い猿が現れて案内したという話。
それが「猿島」の名の由来とも言われています。
静かな浜辺に立っていると、その白猿がまだどこかでこちらを見守っているような気さえします。

 

 

猿島を囲む海は、東京湾とは思えないほど澄んでいます。

浜辺に立つと、波打ち際の石や貝がはっきり見えるほどの透明度です。晴れた日には、海の色が時間によって変化します。朝は淡い緑、昼には濃い青、夕方には金色を帯びて、空と海がひとつにつながるように見えます。

 

↓台場跡に到着

 

 

海面をよく見ると、ゆるやかな潮の流れに光が反射して、細かい波紋が幾重にも広がっています。風の音と波の音が重なり合い、遠くに船のエンジン音がかすかに届きます。

 

↓海岸から撮影

 

 

 

猿島の周囲には高い建物もなく、海を見渡すと空が大きく広がって見えます。視界をさえぎるものがないため、 horizon(水平線)までの距離を感じることができ、光の角度によっては、海の表面に雲の影が映る瞬間もあります。

桟橋や展望台から見る海は特に美しく、潮風が頬をなでるたびに水面がきらりと変化します。猿島の海は、季節や時間によって表情が違うのが魅力です。

 

 

見渡せば、空の色と海の色が溶け合う水平線。
風が止まると、まるで時間まで止まったように感じます。
その一瞬の透明さに、心がふっと軽くなる。

 

島にはかつて「春日神社」が祀られており、
夏の大祭には鹿野山から大蛇が泳いできたという伝説も残されています。
霧に包まれた洞窟や海の底に続くとされる通路――
現代の地図には描かれない、古の気配がこの島にはまだ息づいています。