2025年8月下旬

 

主治医との面談後、妻は再度入院し、一次治療となるアブゲム(アブラキサン+ゲムシタビン)の投与が始まりました。

 

治療開始にあたり、副作用や投与スケジュールについて説明を受けました。また、アブゲム投与後の経過を確認するため、約2週間の入院となりました。

アブゲム治療開始

初回の点滴では、妻は血管が出にくい体質だったため、何度か針を刺し直すことになりました。

その様子を見た主治医から、

 

「このままでは血管への負担が大きいので、ポートを入れましょう」

 

と提案があり、入院中にCVポートを埋め込む手術を受けることになりました。

 

手術後は痛みが強かったようですが、無事に終了しました。

 

二回目以降の点滴はポートから行うようになり、「かなり楽になった」と妻が話していたことを覚えています。

 

また、胆管狭窄があったため、胆管にプラスチックステントを留置する処置も行われました。

 

この処置によって胆汁の流れが改善し、黄疸も落ち着いていきました。

 

2025年9月中旬頃に退院し、その後は外来でアブゲムによる治療を続けていくことになりました。

私にできること

この頃から、私は毎朝お祈りをすることが習慣になりました。

がん封じのお札や、妻の友人からいただいたお守りを並べ、その前で手を合わせていました。

 

「どうか妻の治療が効いて、がんが小さくなりますように」

 

それまで私は、神様や仏様に毎日祈るような人間ではありませんでしたが、当時の私にできることは、それくらいしかありませんでした。

 

また、基本的に料理は私が担当していたため、この頃から食事にも気を遣うようになりました。

 

免疫力が上がると言われている食材や、体に良いとされるものを積極的に取り入れ、「もずく酢」と「トマトジュース」は我が家の定番になりました。できるだけ栄養バランスを考えたお弁当を持たせるようにもしました。

 

もちろん、これらが膵臓がんに効果があるという医学的な根拠があるわけではありません。

 

それでも、人の体は食べたもので作られます。だから少しでも栄養のあるものを食べてもらいたい。そんな思いで、それまでよく作っていた揚げ物はほとんど作らなくなり、食事の内容も大きく変わっていきました。

アブゲム治療開始から2か月

治療開始前に、副作用について説明がありました。

 

アブラキサンの作用により、多くの方に脱毛が起こるとのことでした。

 

その説明どおり、投与から3週間ほど経つと徐々に髪が抜け始め、2か月が経つ頃には、ほとんどの髪が抜けてしまいました。

 

髪が抜け始めた頃、ウィッグを買いに行きました。

 

訪れたのは「リネアストリア」というお店です。妻はロングヘアだったため、できるだけ元の髪型に近いウィッグを選びました。そのウィッグは妻によく似合っていました。

 

妻はもともと外見に気を遣う人で、美容にもこだわりがありました。だからこそ、脱毛はつらかったと思います。それでも妻は、泣き言らしい泣き言をほとんど言いませんでした。

 

幸いなことに、アブゲムの副作用は脱毛以外ほとんどありませんでした。

 

ただ、好中球の回復が遅かったため、本来の投与スケジュールから変更し、隔週で治療を続けることになりました。それでも妻は、仕事を続け、友人との付き合いも続け、飲み会にも参加し、海外旅行にも行くなど、以前と変わらない生活を送っていました。

 

妻は人と接することが大好きな人でした。

 

だからこそ、病気を理由に、自分らしい生活を諦めたくなかったのだと思います。

初めての画像検査

妻にはアブゲムが非常によく効いてくれました。

 

腫瘍マーカー(CA19-9)は毎月確認できたため、私はその数字を追い続けていました。

 

アブゲム開始前(2025年9月)
CA19-9:約1,800

 

投与開始1か月後(2025年10月)
CA19-9:約400

 

投与開始2か月後(2025年11月)
CA19-9:約100

 

投与開始3か月後(2025年12月)
CA19-9:約80

 

数字が下がっていくたびに、「薬が効いている」と実感できました。

 

そして迎えた初めての画像検査。

 

画像では、原発巣は指摘が困難なほど縮小し、肝転移も同様に縮小していました。

 

本当にうれしかったことを覚えています。

 

前の記事でも書いたように、私は「コンバージョン手術」という可能性について調べていました。

 

そのため、

 

「このまま治療が効き続ければ、もしかしたら手術までたどり着けるかもしれない。」

 

そんな期待を抱くようになりました。

 

年末だったこともあり、二人でとても喜び、久しぶりに希望が見えたような気持ちになったことを覚えています。

2回目の画像検査

しかし、膵臓がんは甘くありませんでした。

翌月の2026年1月から、腫瘍マーカーは再び上昇を始めました。

 

投与開始4か月後(2026年1月)
CA19-9:約100

 

投与開始5か月後(2026年2月)
CA19-9:約200

 

投与開始6か月後(2026年3月)
CA19-9:約300

 

2回目の画像検査では、原発巣、肝転移ともに増大が認められました。

 

主治医から画像を見せてもらい、

 

「アブゲムに耐性がつきました」

 

と説明を受けました。

 

こうして、アブゲムによる一次治療は約6か月で終了しました。