杉村太郎、愛とその死
太郎の奥さん杉村貴子氏が本を出版した。太郎とは、もちろんシャインズの嘗ての相方「杉村太郎」のこと。
題して「杉村太郎、愛とその死」。
丁寧に丁寧に、何度も読み返しながら、読了。
3年前に亡くなった東京プリンの相方牧野隆志は、ガンであることを告知された直後、僕を病院に呼び出し、こう語ってくれた。
「洋介さあ、俺、ガンでよかったわ。人の死に方って色々やろ。事故で亡くなる人もいるし、災害で命を落とす人もいる。みんな突然やん。でもさあ、俺はガンで死ぬから、死ぬための準備期間があるねん。こんなラッキーなことってないって。後3年、俺はやりたいこと、しなければならないことを全部やろうと思ってる。そしたらさあ、きっと80や90歳まで生きる人に見劣りしないくらいの充実した人生になると思うねん。まあ、見ててや」。
その時の彼のそれまで見たことのない圧倒されるような面持ちは、今でも鮮明に覚えている。
シャインズの活動時代、太郎はとにかく睡眠を拒んだ。
曰く「もったいない」と。
「そんなんじゃ、体壊すから。体壊したら、みんなに迷惑かかるから」そう、説得しても、頑として聞き入れてくれなかった。
この本ではガンの告知後、そんな生き方に拍車がかかった様子が克明に描かれている。
「死ぬ気でやれよ、死なないから」
太郎が残した言葉だ。
意地悪い人は、「死ぬ気でやったら、死んじゃったじゃん」と言うかもしれない。
でも死ぬ気でやったその姿は、周囲の心の中に今も生き続け、確実に影響を与えている。
だから、杉村太郎は死んでなんかいない。
今をそして今日一日を悔いなく生きることの大切さを、まさに身を持って教えてくれた二人。
今の僕を、彼らはどう思ってるだろう。どんな言葉を投げかけてくるだろう。そして、僕は堂々と対峙できるだろうか。
読後ふと、そんなことを考えてしまった。
「私は妻というより、同志、パートナーだったのかもしれない」と語る太郎ばりに熱い杉村貴子氏のメッセージに、是非みなさんも触れてほしい。
http://amzn.asia/5c78SsA