僕が見た永田町~素人しか変えられない~⑯ | 伊藤ようすけオフィシャルブログ Powered by Ameba

僕が見た永田町~素人しか変えられない~⑯

5月11日。午後5時からのオープンエントリー結果発表を前に、僕も含めたスタッフは昼過ぎあたりから、事務所に詰めていた。普段は冗談が飛び交う、明るい事務所だったが、この日ばかりは軽口を叩く者はいない。
僕に気を使っていることは明らか。
皆、神妙な面持ちでパソコンに向かっている。
一方で、僕の携帯は鳴り続いていた。
その結果を心配してくれている応援者からの問い合わせだ。
「自民党から何か連絡はないの?」
「本当はもう決まってるんだろう?」
5時の発表を自身も待っている旨を伝えながらも、だんだん不安になってくる。
「1位の者には、既に連絡が入っているのでは?」との疑念が頭を擡げてきたからに他ならない。
考えてみれば、12名が選出されたファイナリストの決定は電話で知らされた。今回はニコ生による発表ということだが、その場に1位の者がいた方が番組が盛り上がることは明らか。ということは、1位通過者だけにはもう電話で連絡が入っていて、既に自民党にてスタンバイしているのではなかろうか。
考えれば考えるほどに、悪い事態ばかりを想像してしまって、ネットサーフィンをしながらも、文章が頭に全く入ってこない。
ここで負けたら、すべて終わり。
永田町に身を置く立場から、音楽の力で、ライブの力で、地方をひいては日本をもっともっと元気にしたいという夢もついえてしまう。
前回の選挙以来、忙しい中時間を作ってくれて、僕の話に耳を傾けてくれた人たちの顔が浮かんだ。
みんなの期待を裏切らないためにも、負けることは絶対に許されない。
悶々とする中、時刻はようやく5時を迎えた。

パソコンの画面には、今回のオープンエントリーを企画・立案されたM選挙対策委員長とB選挙対策副委員長の姿が映っている。
入ってくるコメントの数が少ないことが気になった。
注目されている番組では、開始時からコメントで画面が埋め尽くされるなんてことは常だ。
やはり世間からは注目されていないのか?
ということは、投票数は伸びていないということか?
参議院比例区において、自民党が支持母体もなく有名人でもない者を公認した例はこれまでほとんどない。したがって今回、ネット選挙によってその候補を選ぶということはある意味画期的なことだ。
上述した条件にあてはまらなくても、与党である自民党が、国政にチャレンジしたいと思う人間に門戸を開いたことになるからだ。
今後この機会を継続していくためには、第一回目の今回が盛り上がる必要がある。
ファイナリストの一人に選ばれた者として、その責任はずっと感じていた。
だからこそスタッフ一同、寸暇を惜しんで投票をお願いし、本企画を盛り上げようと尽力してきた。
まだまだ力不足だったということか・・・。
相変わらず、コメントの増えない画面を眺めながら、忸怩たる思いだった。

そして、最高得票者としてM氏の口から出たのは僕の名前だった。
事務所は歓喜の渦に包まれた。
抱き合って喜んでくれているスタッフ。目に涙をためている者もいた。
そんな光景を目の当たりにしながら、努力が報われた喜びを噛みしめる反面、いよいよ始まる本番の戦いに向けて身の引き締まる思いだった。
このままの戦いを続けていては、前回同様、本番では叩きのめされることを予感していたからに他ならない。

⑰に続く