僕が見た永田町~素人しか変えられない~⑧ | 伊藤ようすけオフィシャルブログ Powered by Ameba

僕が見た永田町~素人しか変えられない~⑧

選挙プランナーK氏からの申し入れはその場で断った。現状スタッフの中に選挙に通じている者がいない中、力を借りたい気持ちはやまやまだったが、無い袖は振れない。どこをどう探しても、1億円なんて大金は持ち合わせていないのだ。
氏と別れた帰り道。
穏やかな気持ちとは程遠い、不安な気持ちで一杯になった。
氏は、「比例区の候補者なら、1億くらい使うのが一般的だと思いますよ」とはっきりと断言した。
全国を飛び回るための交通費、宿泊費を足し合わせたとしても、到底億の額には及ばない。
ということは、集票するためにはお金を使ったもっと別の方法があるということなのか。
考えても、考えても、答えは出ない。

年が明けて程なく、事務所の契約をした。
スタッフが集まりやすいという理由で場所は渋谷区桜丘。
広さは30㎡で家賃は管理費込みの14万円弱だ。
選挙が終わる7月一杯の契約ということで、なかなかいい物件が見つからず苦労したが、まずは一安心。
1月の中旬から、ここに週一回のペースでスタッフが集まり打合せをすることとなった。
スタッフは総勢8名。
僕が一人一人会って、お願いをした。
ちなみに皆、本業は別にあって、伊藤洋介事務所の仕事に専任するわけではない。
選挙の結果、落選する可能性もあるわけで、その際は無職となってしまうからだ。
本来であれば、腹を括って僕と心中してくれるような人材を見つけるべきなのであろうが、この時点でその勇気が僕にはなかった。
今となっては、その点、心残りがないかといえば嘘になる。

2月初旬。
オープンエントリー、書類選考合格の知らせが届いた。
まさに身の引き締まる思い。
さすがにここで落ちることは考えていなかったが、やぱりほっとした。
500名近くの応募があったらしい。
少なくとも僕の周囲ではこのオープンエントリーの存在を知っている人は皆無で、したがってこれほどの応募があったことには正直、驚いた。
この中から、何人が通過したのかは知らされなかったが、ここからさらに面接を経て10人に絞り込まれる。
面接日は2月13日。
これからは体調管理にも気をつけねばと気を引き締めた矢先のことだ。
ネットにて「比例区で自民党が今井絵理子氏を公認」とのニュースに触れる。
氏は僕と同じエイベックスの所属アーティスト。もちろんその知名度には天と地ほどの差はあることは理解している。
その日の夕方以降のニュースは氏の記者会見の様子を一斉に報じた。
見ると、彼女の隣には「伊藤さんの知名度では、自民党が公認する可能性は低い」と言い切ったM選挙対策委員長が座っている。
さすがにこれには凹んだ。

➈に続く