サブカルの生き字引 | 伊藤ようすけオフィシャルブログ Powered by Ameba

サブカルの生き字引


梅雨空から少しだけ天気が回復しそうな6月22日。ちょっと遠出をして岡山県に赴きました。そこでお時間をいただいたのは、写真家・音楽・美術評論家など、さまざまな肩書きでご活躍中の能勢伊瀬雄氏。サブカルチャーの生き字引とも呼ばれている方です。

氏は遡ること約40年前に、当時はまだ一般的ではなかったライブハウス・PEPPER LANDを岡山市内に設立します。アンディ・ウォーホルの映画にライブシーンがあり、そのシーンで照明、セット、音楽が織りなす空間をこれこそがアートだと感銘を受けたことが、きっかけだったそうです。そして氏の多彩な才能を織り交ぜて表現する場としてこのライブハウスは存在しました。その後、ミュージックシーンに留まらず、日本固有の産業技術力とアーティストをコラボレーションさせるという新たな試みなどに挑戦し、美術・文学・建築・果ては経済界にまで影響を及ぼす存在となられました。

能勢さんの言葉でとても印象的だったのは、「若い人の感性はすべて正しい」と言い切られたこと。その感性を修正するのではなくて伸ばしてやることこそが、人生の先輩としての役割だとおっしゃっていました。僕自身は、これまで「違うものは違う」と口を挟むことに年長者としての存在意義があると思い込んでいました。そこへ能勢さんの意見が深く刺さり、色々と考えさせられました。



また「日本の音楽は海外でも通用すると思いますか?」との問いかけには、「まだメジャーになっていないアーティストの中には海外で十分に受け入れられる人たちがたくさんいる。ただし、その目利きができる人がいないのが問題」と断言されました。そうなんですよ、みなさん!日本の音楽は世界のミュージックシーンで十分通用するポテンシャルを有しています。

しかしその目利きをどうするか、音楽業界にいる自分としてもなかなか悩ましい課題でもあるのが現状です。こういった目利きを行える編集者的視点を、現状のUGCシステム(YouTubeやニコニコ動画、PIXIVのようなサービス)の中から生み出す、ということを考えてみるのもいいかもしれません。

日本を宣伝する 伊藤ようすけ