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すべての人が「今」を生き、「ここから」を自分で選択、創造できる世の中をめざします。

私は4月より一時保護所で非常勤で働いています。

そんな自分が書くので児相の擁護に思われるかもしれないですが書いてみます。

 

目黒区で両親から虐待を受け亡くなった船戸結愛ちゃんの事件

父親は結愛ちゃん死後の3月に逮捕されていましたが、今回母親の逮捕の報道により

その虐待の実情や結愛ちゃんの両親への手紙の内容が明かされ社会に大きな衝撃が走っています。

 

私も衝撃が強く涙が止まりませんでした。

 

東京新聞《女児SOSに衝撃 目黒虐待死つづったノート》

 

SNSには多くの怒りの投稿が並びました。その内容は、

『両親を同じ苦しみに合わせろ』

『児相は怠慢だ』

おおよそその類のものでした。

 

両方ともに一理あると思います。

『児相は怠慢だ』

これには、少し具体的にすると

「香川の児相はどうして家に帰した」

「品川の児相は家庭訪問して面会拒否されたのだから怪しいに決まってるだろ。何故すぐに警察を呼ばなかったんだ」

その類の投稿でした。

 

私も真相は分かりません。

 

ただ「香川の児相はどうして家に帰した」

ですが、児相はやはり一度保護してまずは『家に戻せるか』

という観点でケースワーカーなどが母子間調整をするようです。

必要に応じ面会を繰り返し少しずつ親子に会話をさせて関係が修復されてきたと判断すると一時帰宅をし順調ならばそのまま。もう少し期間が必要となれば一時帰宅を何度か繰り返し、問題ないと判断すれば家庭に戻す。そんな形のようです。

 

毎日新聞《児相が「指導措置」解除 転居前の香川で》

 

 

そして

「品川の児相は家庭訪問して面会拒否されたのだから怪しいに決まってるだろ。何故すぐに警察を呼ばなかったんだ」

この手の批判ですが、一時保護にはマニュアルがあります。

まず今回の事件にも関わる調査からアプローチについての内容がこちら

 

今回2月に品川の児相が家庭訪問をして結愛ちゃんとの面会を求めて拒否されたようです。そのあたりについては第4章の4項以降に書かれています。

児相の所長が立入調査を発動することができますが、ご覧のようにむやみに発動、または家に踏み込めないのが分かると思います。

 

むやみな踏み込みが親の逆上を引き起こし、家の中にいる子どもへ危害が加えられる可能性があります

子どものための強制的踏み込みが逆に子どもを命の危険に晒す可能性があるのです。

 

また警察に依頼し警察が強制的に踏み込める・・・いや踏み込めないのです。警察は残念ながら事が明確に起きないと動けないので。

そのかわり危害を加えられる可能性がある際に児童相談所所長を《援助》できる・・・のです。

その上でそこで実際に危害を加えられるなど犯罪行為が親にあれば初めて動けるのです。

 

次の記事を読むと今回児相はマニュアル第4章第6項(3)の〔3〕にあるように過去に虐待や保護がありながらの面会拒否ということから対応を協議し始めていたようです。

 

毎日新聞《東京都 児童虐待で警視庁との情報共有拡大へ》

 

なのでこれらから窺えるのは品川の児相は少なくとも表面的にはマニュアルに沿って動いていたということになりそうです。

警察も援助しかできない立場でした。

 

簡単に親権を停止できれば香川の時点で停止できたのですが、こちらを読むと《子どもの利益を著しく害する》明白な根拠が必要なようで簡単にはいかないようです

 

政府広報オンライン《最長2年間、親権を制限できる「親権停止」の制度》

 

しかしだからといって正当化はできないでしょう。

親の逆上などを考慮せず即立入できれば救えた命なのですから。

 

なので現状は児相のマニュアルと警察官職務執行法 の整合性をとった上での対応となってしまいます。

警察は虐待に関わらず事が起きないと動けないのでこれを変えるのはなかなか難しいでしょう。

 

なので先ず児相のできる範囲で児相同士、他の児童福祉施設、里親、民間団体との連携。また警察と別の形の模索とすべての関連機関が団結して子どもの命第一での早急な改革が必要です。

 

そしてこの事件に直接関係のない第三者の私たち。

私たちはイジメ自殺事件、虐待死事件などの報道において怒りの感情から悪者探しに終始し、悪者が明確になると忘れていく。

私が知限り・・・過去の子どもが絡む事件、そうでない凶悪事件でも私たちはそれだけを繰り返しているような気がしてなりません。

 

これでは繰り返されるだけだと思います。

 

凶悪事件の統計は減っている?

子どもの非行が減っている?

確かに減っていますがそれはイコール人の心も良くなっていると言えるのでしょうか?

 

これは私の感覚だけの話ですが、ネット文化や情報が増えていく中で表面化する事件が減っているけれど陰湿化し見えづらくなっている気がします。

 

今回の件で児相の改革は必要です。

改革がうまくいくことで亡くなる命を救えるかもしれません。

 

しかし、、、しかし本当に大切なのはそもそも虐待など起こらない社会になること。

同情でも擁護でもないですが、やはり虐待する親には親自身の貧困や生きづらさがあります。

 

本当に本当に大切なのは虐待した後の親を責めることではなく、虐待する前の親に社会が寛容に、優しくなっていくことではないかと思います。

 

皆さん変えていきましょう。手伝ってください!