映画『宇宙大戦争』(1)1959年監督：本多猪四郎×特撮監督：円谷英二×音楽：伊福部昭　人類初の

映画『宇宙大戦争』(1)1959年監督：本多猪四郎×特撮監督：円谷英二×音楽：伊福部昭　人類初の月着陸の10年前に制作された宇宙戦争映画。レーザー光線入り乱れる宇宙戦！

1965年(公開の6年後)を舞台に、侵略宇宙人ナタールと地球軍の宇宙戦争を真正面から描いた作品。
1969年のアポロ11号による人類初の月面着陸の10年前、有人宇宙飛行の2年前の製作であり、無論誰も見たことのない宇宙の描写は、
すべて、当時の最新の学説や写真などの資料から推測されたというのが驚きです。
宇宙船内の無重力描写をはじめ、月面車のエアークッション飛行(月に部分的に大気が存在するという説から)、
ロケット戦闘機の発想、絶対零度に冷却すると物質の質量が０になり無重力状態になるなど、
数々の空想科学描写に果敢に挑んだ、ＳＦマインドを持った作品です。

※DVD：　宇宙大戦争

みどころのひとつは、中盤、月面での熱線砲VSナタール月面基地、月面車VSナタール円盤の戦闘と、
クライマックスの敵味方のレーザー光線(熱線VS冷却線)入り乱れての宇宙空間でのスピード感あふれるドッグファイト！
ミニチュア(特撮)、戦闘機の操縦席セットの乗組員(本編)、そして光線の光学合成が、目まぐるしいカットバックが効果的で、
バックでは「宇宙大戦争マーチ」が高らかに鳴り響き、否が応でも気分をたかぶらせます。
(ゴジラ・バランの旋律。後の「怪獣大戦争マーチ」よりアップテンポ。)
本編：本多猪四郎監督×特撮：円谷英二特技監督×音楽：伊福部昭という黄金のコンビネーションの妙がいかんなく発揮されています。

※サントラＣＤ。すでに廃盤。

(発売日：1996/11/7)
レーベル: EMIミュージック・ジャパン

そして、このときの光線にも注目。
切れ目のない光＝レーザー光線が使われていて、しかも光線は発射しながらも、左右にスイングして照射される！という凝りよう。
「ウルトラマン」科学特捜隊のレーザーガン、「スタートレック」のフェーザーもこれと同様の「レーザー光線」ですが、
これらのずっと後に登場する「スターウォーズ」以降のほとんどの宇宙ＳＦ映画では、「ぶつ切りの光」が発射されて飛ぶ描写になってます。
これは、銃弾と同じほうが、発射時の俳優のアクション、着弾の表現が容易で、合成の手間を省くことができるアイディアとして考えられたと思われますが、
やはり、光線でないと気分が出ません。

また、小松崎茂氏による数々のデザインとアイディアも忘れられません。
当時、すでに雑誌口絵・絵物語で活躍され、円谷英二氏とも親交のあった同氏は、
クレジットにさえ記録されない立場であった、今で言う「コンセプトデザイナー」として参加されました。（「地球防衛軍」他でも参画）
怪獣やロボットなどが登場しない本作において、宇宙ステーション、宇宙ロケット、宇宙服にナタール円盤などの意匠は、
本作品のもう一つの顔としてだけではなく、世界観の一部としても非常に重要な役割を果たしています。

(すみません。長くなったので続きは次回…。)

DVD　宇宙大戦争

[DVDソフト] 宇宙大戦争【1225thanks2】