友よあなたは 思ったことがないか 死ぬまでにどこまで 辿り付けるだろう  | 「僕はずっと山に登りたいと思っている。……でも明日にしよう…」 残念ながら、おそらくあなたは永遠に登れないでしょう。

友よあなたは 思ったことがないか 死ぬまでにどこまで 辿り付けるだろう 

 この眼前に拡がる情景。もはや言葉は要らない、圧倒的な包容力。全く節目とは無関係な、どうでもいい日常の行動の中で突発的に生じる陶酔感をあなたもまた感じていることだろう。
 
 そう、サデルシである。差が出る、とビタミンCのC、の部分を融合させたラディカルかつポジティブなネーミング。妙齢女性の柳腰を想起させるかのような、流麗でいてメリハリに富む中央部から下部にかけてのカーブライン。かつてこれほどまでに購買意欲を抱かせるような飲料、いや商品はあっただろうか?という愚問をすることの無意味さにあなたは残念ながら自分の意思とは無関係に、とても根源的な部分での理解を既に終えてしまっている。

 8歳の時だっただろうか。まだ自動販売機で売られているジュースは100円という廉価だった。私は政府の陰謀により「炭酸飲料=飲むと骨が解けて肉体的大崩壊を起こし、成人前にこの世を去ることを余儀なくさせる飲料」だと信じ込んでいた。…青かった。けつの蒙古班がBB弾で集中砲火され、内出血したものくらい私は青かった…。サデルシというパンドラの箱を開けるまでは!!!

 サデルシに出会って以降というもの、私は水を得た魚のように、生きた。人間は目標はそんなに要らない。一つ、巨大で偉大で達成困難なものを一つだけ抱え続けていけばよいのである。そして私は「サデルシを超える」ことをその目標に設定した。特別な才能があるのならばともかく、アマチュアで、しかもファミコンを持っていずに友達のソフトの中に自分のセーブデータを作ってしまう(万が一のために備え二つ)ような自分は重荷ではないか、と何度も挫折した。スーファミを買ったり、最終的にはメガドライブを買おうかとさえ、した。

 気がつけば22歳。今ではプレステ2を余裕で所持してしまうくらいになった俺であるが、アイツの背中はまだ遠く霧の向こうにかすんでいる。