「ほんとうにすまなかった」
司橋駅近くのいつもの居酒屋チェーン店。飲み放題の時間終盤。顔を真っ赤にした龍司が向かいに座る友里恵に深々と頭を下げる。
「もーいいって」
友里恵は笑顔でそれに答える。それを隣で見ている鷹國は複雑な顔をしている。
「ごめんな、何度も何度も」
ベロベロに酔った龍司の代わりに鷹國が謝罪を入れる。
「いーよいーよ」
鷹國の謝罪にも笑顔で答える友里恵。
「やっぱり昔と変わらないね」
そう言いながら友里恵は龍司を見る。鷹國も友里恵の言葉に頷きながら龍司を見る。恐らく2人には同じ思い出が浮かんでいる。
「お前も変わんないよ?」
そんな中龍司が友里恵をフラフラな手で指さしながら言った。
「えー?」
友里恵はそう言いながら梅酒を口に運ぶ。
「いつでも豪快に笑ってさ、ギターも歌も上手いし、魅了された時のままだ!」
「えー!」
龍司に褒められ恥ずかしくなった友里恵は照れ隠しに梅酒を口に運ぶ。明らかに先程より減りが多い。
「当時もこれくらいの勢いがあったらなぁ…」
そう言いながら龍司は頭を抱える。鷹國は何言ってんだ!って表情で龍司を見た後横目で友里恵を見る。
案の定内容を察した友里恵はニヤニヤと龍司を見ている。
「ほんと、変わらないねぇ〜」
色んな意味を含め友里恵は龍司に言った。