伊東歌詞太郎です!




いやはや、ついに僕のギターがリペアショップの職人さんの手に渡っていきました。

7年間、一生懸命にがんばってくれたギター。


雪が降る氷点下の冬の川崎でも、

40度を超える夏の由比ガ浜でも、

梅雨の雨に降られても、

一ヶ月のうち20日以上も外で弾かれても、

3年間切れなかったから弦を張りっぱなしにしていても、

がんばって音を鳴らしてくれていた僕のギター、
Gibson J-45Rosewood custumですが、
ついにリペアに出すことを決意いたしました。



きっかけは、音でした。



ある日、いつものようにストロークをしたら、
なんか?ちょっと、違う...!



元気がない。
音に元気がなかった。


その日一緒にリハーサルに入ってくれていたロックスターギタリストの柴田さんも指摘。

他の人も、自分も感じているということは、
ついに頑健さを誇っていた僕のギターも限界が訪れたということか。
そう感じました。



プロのギタリストで、
かなり強いこだわりのある人だったら、半年に一回は調整に出すこともあります。

それほどアコースティックギターという生楽器は繊細なのでしょう。


僕はこの楽器を買ってからどんな状況でも甘やかさずに、
といえば聞こえは良いですが、
要するに何も気にせずにガシガシストロークのみで弾き続けてきました。




ライブはもちろんのこと、
楽曲の制作もこのギター。
多摩川や隅田川でたくさん曲書いた。
僕のアルバムにもこのギターで演奏者として参加した。



7年間もなぜ調整に出さなかったかというと、
やっぱり僕はこのギターの出す音が変わらなかったから大丈夫だと思っていました。



正直、路上ライブ中に風にあおられてギタースタンドから落ちたことは10回以上ある。

大地震が起こったときも余裕でネック側から倒れていた。



それでも何も変わらずにずっと音を出し続けてくれていた僕のギター、
一生大丈夫なんじゃないかって思ってしまっていました。


甘かったんですね。
やはり、調整に出さずに7年間も使っていたのは、
厳しかったのかもしれない。
使い続けてきた僕自身が音の変化を感じてしまっていたから。



そんなわけで、僕は泣く泣く調整に出すことを決意しました。


不具合を直してもらえるんだから早く出せば良いじゃないか、
って思うのも当然なのですが、
実は僕、このギターじゃないとメロディーがぜんぜん思い浮かばないんです...。

もうひとつ、トラベルギターを所有しているのですが、
こちらの音ではちょっとアイディアが浮かびづらいんですね...!



というわけで、
使えない間はこのトラベルギターでがんばって作曲しているわけなんですけれども、
そんな理由で泣く泣く出してきました。



職人の方に見てもらいました。



「なんか、最近音が疲れてるというか、張りや輝きを感じない音になってるです...。
おそらく長年の使用の経年劣化や、落としたりの物理的衝撃により、
曲がったり穴が開いたりして音が変わってしまったのではないかと...!」


というように、僕は職人さんに説明しました。

なるほど、じゃあちょっと見させてください、
とギターの弦をはずしてサウンドホールの中に手を入れたり覗いたり。
ボディをコンコン叩いたり、ネックの反りを見たり。
20分ほど丁寧に見てくださいました。




すると!




「はっきり言ってどこにも問題が見当たりませんよ...?」

とのこと...!





嘘でしょう???
と思ったのでいろいろ詳しく聞いてみました。



ボディに打痕(たぶん落としてできた)はたくさんあるけれども、内部に達していない。

ネックが7年間なにもしていないのに、一切反っていない。

その他、内部の木の構造も、はがれや割れなどまったくないとのこと。



でも、音が変わってしまったのは事実なので、もう一度それを伝えたところ、
職人さんはそんなことないと思うけどなぁ、ちょっともう一回弾いて聞いてみましょう、
と提案。





そんならということで、新しい弦を張りなおし、
ストロークしたところ...!








いつもどおりの音が鳴った。







一体なんだったんだ!!!!!!!!!



僕は思い当たる節がひとつあることに気がついた。

弦だ。


いつもは「Martin アコースティックライトゲージ」という弦を張っている。
これは600円くらいのものなんです。

世界中で一番、どの楽器屋さんにも売っている定番中の定番です。

それがね、この前新宿の楽器屋さんに行ったときに置いてなかった(ように見えた)んです。



あれー、あんなにどこにでも置いてある弦なのに、
品切れかな?
むしろ品切れすらありえないくらい定番なのにこの楽器屋さん大丈夫かな?
とかいらん心配しちゃいました。


どのくらいありえない状況かというと、
CDショップに行くとしますね。



おそらく日本全国どこのCDショップに行ったとしても、
Mr,children、EXILE、SEKAI NO OWARIの3アーティストは確実に置いてあるじゃないですか。



もしかしたらめっちゃ探せば、
ひとつくらいない店舗もあるかもしれない。



でも3つなかったら?

3つともなかったら??



さすがにこれは、この3アーティストのファンではなかったとしても、
このCDショップやばくない?!
さすがにエマージェンシーじゃない?!
ドラゲナイ?!
ラララサムバディトゥナイ?!


ってなるわけです。

このたとえは誰にもわかりやすく工夫しましたが、
わかりやすく工夫しなかったらもっといっぱいたとえができます。





エレキギターショップにギブソンとフェンダーがない。



ライブハウスにSHURE社全般のマイクがない。



ペットショップDOG&CATにめだかしかいない。



ジャンプにハンターハンターが掲載されている。



SMAPに木村拓也が抜けて森くんが復帰している。



24時間テレビに偽善がない。



幽遊白書の魔界統一トーナメントがきっちり最後まで描かれている。



ハチミツとクローバーのハチミツがない。



はろうきてぃコラボwithミッキーマウスでミニーちゃんの面目丸つぶれ。



メロスが激怒しない。



富樫先生お願いだから仕事してください。





このへんでしょうか。

これらのことが現実に起こっていたら、
強烈な違和感を我々は感じるはずです。

超強烈な違和感があるはず。



と、このくらい深刻な事態なんですよ、
楽器屋さんに「Martin アコースティックライトゲージ」がないということは!!!


仕方がないからいつも使ってないものを買うしかないわけですね。
だから本当に仕方がなく、
399円の弦を買って張ったんです。


いつもより200円も安いぜラッキーとか思って買ったことをすっかり忘れていた。
この弦を張っていることをすーっかり忘れておりまして...!!



そりゃあいつもよりハリがなくて輝きがない音になっているわけですよ!!
弦は200円の差でずいぶん違いが出るということを思い知りました...。

「Martin アコースティックライトゲージ」は600円なのですが、
もっと高い弦もあります。1500円位するのもあるのですが、
やはりそれほどの音になるんでしょうかね...!!

高い弦はいい音がするのかどうかはわかりませんが、
399円の弦はぜんぜん音がよくないことだけは学習できました!



というわけで、実はまったく問題なかった僕のギター。
とりあえず消耗品といわれる部位は7年分きっちりと消耗していたので交換してもらうことに。
あと、内部に達していないけれども、
打痕は補修して、穴が開かないようにしてくれるみたいです。



だから日数も10日以内でした!

やったぜ!!!

他のところで見積もりだしてもらったときは2ヶ月って言われて絶望してたけども...!



というわけで、
僕のギターはもっともっと元気になって帰ってきてくれることを願ってます!!

むしろ音に問題なかったから、
職人さんの手によって補修を加えられた僕のギターは、
もっといい音になって帰ってくることをちょっと期待してたりしてー!!!


でもね、なんか感動しちゃったんですよ...。
アコースティックギターって、本当に「生」楽器なので、
エレキギターよりは耐久性がない上に、メンテナンスも手がかかる。
扱いは気をつけなくてはいけない楽器なんです。


それでも、僕はまったく甘やかすこともなくどんな場所でも置いたし、
どんな場所でも弾いたし、
ハードケースじゃなくても海外に持って行ったりした。



そんな普通のギターオーナーの扱いよりも厳しすぎる扱いで接してきたというのに!!

問題がなかったなんて、
あいつ、よっぽどがんばってきてくれてたんだと思います。


こんなにガシガシ働かせたのに、問題がない、ということは、
不満を言わなかった、という風に感じてしまって...。



なんて我慢強いギターなんだと不覚にも泣きそうになっちゃいました。



本当にありがとう。
お前のおかげでたくさんいい曲を作れたし、
最高の仲間もできたし、いろんな場所で歌がうたえている。

こんな扱いをしてぜんぜん大丈夫なほどに頑丈なんだから、
死ぬまでボッコボコに付き合っていける気がしました。


早く帰ってきてほしい。早く弾きたいから!!!




余談ですが、例の弦、
パッケージ変わっていたことを僕が知らなくて、普通に売っておりました...。

こちらのパッケージでずーっと売ってたんですけれども、



こっちになってたー!!
ご丁寧に商品のパッケージは予告なく変更することがありますって書いてあるー(笑)!!


これは、気がつかないよね...?


そんなことない?!

ドラゲナイ?!

ラララサムバディトゥナイ?!



あ、間違えたこっち!