おバカの帝国第3回・ガダルカナル島  | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 ガダルカナルでの日本軍は始めから終わりまでバカ全開でした。

 

 海軍の設営隊が行っていたのですが、島民を使う時に、シンガポールで押収したポンド紙幣を日当として渡しましたが、イギリス商船が入らない状況では紙切れに過ぎません、成績優秀者には1週間に1本タバコを支給する、作業が終わったときに最優秀者に腰巻1枚を支給すると決めていたといいます。渡すポンド紙幣に価値があったら、こんなセコイ賞品など出す必要がないわけで、始めから紙切れで働かせるつもりだったのです。上陸したアメリカ軍が小麦粉で日当を払ったのとは大違いです。

 

 アメリカ軍がガダルカナル島に上陸したときに、日本の方面軍司令部は揚陸が1日で終了したので、上陸したのは1000人程度と推測していました。日本の揚陸能力では1日だったら1000人が限度なのでそう考えたのですが、実際には10000人が上陸していました。敵の能力を知らなさすぎるにも程があります。

 

 慌てて陸軍が3個中隊700人を急派することになったのですが、相手が1000人だから700人も送れば海に追い落とせると思っていた方面軍のおバカさ加減が、その後の惨敗の端緒になります。

 

 その700人の装備が裏山に演習に行くようなお手軽なものだったので、運送する海軍が驚いたと言います。さらに行く陸軍の者たちが、自分たちが行く前に敵が逃げてしまわないかと心配していたので、敵を軽視するにもほどがあると海軍は呆れました。

 

 上陸したのが海兵隊であるという情報が入って来ると、「なんだ海軍陸戦隊が、それなら弱い」と陸軍の者が言ったので、海軍は唖然とします。素人ならばともかく、職業軍人がアメリカの海兵隊を知らないというのは酷すぎます。海軍は違うと言うと怒るので黙っていたそうです。

 

 おバカさ全開で敵のことを少しも知ろうとしていないのですから負けるに決まっていますが、方面軍では派遣した部隊の一木隊長は、用兵に長じているから勝てるとしていて、ここでも用兵の妙の考え方が見て取れます。

 

 そのあとは連隊、師団と派遣する単位を大きくして行きますが、兵力の逐次投入であり、食糧輸送の目途が立たない状態で派遣しますから、大量の餓死者を出すことになり、戦史のなかでも類まれな大敗北になります。