伊藤浩士先生の小日本秘史・時々掲載予定 90回 歪められる元寇 | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 豊臣秀吉の朝鮮侵略に触れると、元寇のときに対馬や壱岐の日本人が酷い目に遭わされた、豊臣秀吉が朝鮮に兵を出したのはその仕返しだから正しい、侵略なんかできないという議論をぶつけられるようになっています。

 

 日本を攻めることは元・モンゴル皇帝フビライが決定したことであり、朝鮮に仕返しというのは筋違いだと言うと、高麗が日本を攻めるようにモンゴルに頼んだから攻めて来たのだ、反日国家である高麗は日本がモンゴルに攻め滅ぼされることを願っていたのだから、高麗の後継の李氏朝鮮への仕返しは間違っていないと主張して来ます。

 

 史実の流れを見れば、高麗王は日本との戦争になれば自国が大きな負担を背負うことになるので、日本を攻めることに関しては一貫して反対しており、海上輸送の困難さを説いてなんとかフビライに日本攻撃を思いとどまらせようとしています。

 

 それをぶち壊したのが北条時宗で、朝貢を拒否するだけでなく、元との対話も拒み、使者を斬るような乱暴をやって、フビライが、日本を攻めなければ大元皇帝としての面子が保てないと考えるところまで追い込んでいます。高麗王にしてみたら、自分が行ってきた日本攻撃を諦めさせる努力をバカな日本の指導者に壊された、日本の指導者の無謀さのために我が国は酷い負担を元から押し付けられたといった話になります。

 

 船を造る能力を持たない元は、高麗に大量の造船を命じ、乗組員も出させ、兵も出させます、これによって高麗国は酷く疲弊することになり、大量の材木の切り出しで自然環境も破壊されます。いったいどうすると反日国家の高麗が日本攻撃を望んで、元に攻撃を勧めたなどという議論が出て来るのか。豊臣秀吉の朝鮮侵略を正当化するために歴史を捻じ曲げているとしか思えません。

 

 冊封体制の服属は名目的なものであり、それで中国王朝の臣下になっても損の行くことはないのですが、それは平和的に貢物を持って行った場合であり、高麗は長期に渡ってモンゴルの侵入に抵抗して、戦いに負けての服属なので、冊封体制での臣従とは違い、造船や乗組員や兵の提供という手厳しい支配を受けたわけです。

 

 元以外の王朝で冊封体制のときには朝鮮側は損をしない付き合いであり、元だけは敗戦による服属なので苛烈な支配になったのですが、今の日本の愛国者の歴史見解では、冊封体制のときに収穫高の半分を召し上げられ、美女3000人を貢物として差し出すことを強要され、元のときには、日本攻撃を元に依頼するほど高麗王は強い立場にあったことになってしまっています。

 

 韓国人はエベンキ族である古代の朝鮮民族は滅びたから、日本人との血縁関係は一切ない、高麗の要請で日本に元軍が攻めて来たのであるから、豊臣秀吉の朝鮮侵略は正当な仕返してある、こんな酷い歴史の改竄が当たり前のように行なわれる、今の日本はとんでもなく酷い状態になってきています。