今年の1月、NHKで『フルスイング』というドラマがありました。

高畠導宏さんという、元プロ野球の打撃コーチをしていた方の実話をドラマ化したものです。


原案は門田隆将著『甲子園への遺言~高畠導宏の生涯』。

実はわたしはまだこの本を読んでいません。

このドラマを見るまで高畠さんの存在さえ知りませんでした。


主役の高畠さん役は(ドラマでは高林導宏と設定)

高橋克実さんが演じていました。

別に高橋さんのファンではなく、端役のある俳優さん目的でホームページを訪問したのです。

そして初めてこのドラマが実話であり、

今は亡き、元プロ野球のコーチだった高畠氏の物語だと知りました。


高畠さんは昭和19年岡山県に生まれ、

学生時代は岡山の怪物バッターとして有名だったそうです。

昭和42年に南海ホークス(現ソフトバンク)に入団。

でも怪我のため現役時代は短く、47年から打撃コーチになったのです。


以来30年、ロッテ、ヤクルト、ダイエー、中日、オリックス、千葉ロッテと

7球団を渡り歩いたのです。

あのイチローも彼に師事されたんですよ。


そして58才の時、プロ球団から惜しまれながら、

彼の選んだ第2?3?の人生は、なんと高校教師でした。

通信教育で教職の勉強、しかも50代も後半でです。

結構きつかったと思います。

奥様にも不安はなかったのでしょうか?


平成15年、福岡の高校に社会科の教師として赴任。

コーチ人生で培ったコーチングは、生徒や他の教師にも

色々な影響を与えたようです。

そして彼等を支えたのです。


他の教師からすれば彼は歳はいってても新任のぺーぺーです。

でも元プロ野球のコーチで、つまりは鳴り物入りで来たわけです。

最初はどんな気持ちだったのでしょう。


ドラマはそうやって彼が赴任してきた所から始まりました。


初回と2話を見逃してしまったのですが、

3話から見ても十分おもしろかったです。


その高校は私立で、ごく普通の全日制の学校でした。


高さん(こう呼ばれてたんですね)はそんな中で、悩んでる子供や、

生徒にどう対峙していいかわからない教師を支えていきました。


「キャッチボールと同じですよ。」

ちゃんと取れるような球を返してあげないと、キャッチボールは成り立たないですから・・・。

届かないなら近くまで行けばいい、速すぎるならゆるい球を投げればいい。


「自分はいつもフルスイングですから。」


いつも誰かのために走る高さんは、何をそんなに急いでいたのでしょうか。

わかっていたのでしょうか?

自分の生きられる時間があとわずかしかない事を・・・。


「夢を持つ事は大事だ。」

と高さんは一貫して語っていました。

それはずっと野球に夢を託した彼の信念だったのでしょうか。

野球から学んだ自分の人生観を、彼はきっと子供たちに伝えたかったのだろうと思います。


余談ですが、わたしの息子も高校まで野球をやってました。

夢はもちろん甲子園。

試合をしても負けてばかりの息子の夢だって甲子園でした。



初めて受け持った(3年の福担任でした)

生徒の前での最後の授業は、バットを持っての『フルスイング』でした。


バットを持つ手も辛いほど進行していたガンでしたが、

高さんは懸命に自分の姿を見せました。

「もういいよ!」

と生徒が涙ながらに止めるにも関わらず、高さんはフルスイング。


その後単身赴任だった高さんは奥さんの元へ帰り、

数ヶ月後に亡くなりました。(平成16年7月1日)

病気とも精一杯闘ったのだろうと思います。


高さんの教師人生はたったの1年。

でもすごく中身のある、濃い1年だったと思います。


高橋克実さんがいい演技をしまして、わたし毎週大泣きだったです。

ドラマを見てしゃくり上げるほど泣いたのって久しぶりでした。

死んでしまうのがわかっていたのに、死なんで~!

心で叫びましたよ。


高橋さん、今『爆笑!レッドカーペット』であんなですが、(どんななんだ)

役者さんとしてもいい味出しますねー。

好きな役者さんのひとりになりました。



最後に、

わたしはもしかしたら高畠さんは、

高校野球の監督になりたかったのじゃなかったかと思いました。

そしてその子等と一緒に、甲子園に行きたかったのではないかと・・・。



「夢を持ちなさい。何でもいいんだ。」