中小企業の採用において、「人手不足の為」、「面接で良いと思った」、「何となく大丈夫そう」、という主観で採用をしている経営者、採用担当者は思いの他多くいらっしゃいます。
その方法で問題なく、自社の考える”来てほしい人材”を雇用できているのであれば良いですが、それではほぼ、”当たればラッキー”の状態と言わざるをえません。
実際にご相談を受けるケースとしまして、
「面接などでは良いと思って採用したけど、採用後しばらくたつと態度が少しずつ変わり、問題社員となってしまった。どう対処すれば良いでしょうか」
という事例があります。
この段階で留まっていればまだ良いものの、経営者が安易に解雇や解雇と誤解されかねない退職勧奨をしていたりしますと事態は圧倒的に会社側へ不利になります。
話を戻しますと、「フィーリング」で採用し、雇用する方法について。
語弊を恐れずに言えば、特に能力を確認した訳でも、実績の裏付けを確認した訳でもない方を雇用し、企業が発展してゆく為には、その企業が業界でNo1に近い上位にポジショニングをしており、「人」さえいれば利益を生むビジネスモデルがある場合でないと難しいのではないでしょうか。
そういう意味では、上記に該当する企業の採用方法としては効率的とも言えます。
しかし、企業が上記状況にいない場合、自社に合い、仕事に励んで頂ける方を、地道に根気よく探す活動を続ける必要があります。
歴史からもこの姿勢を学ぶことができますので、少しご紹介たいと思います。
このような言葉をご存じでしょうか。
「遠くをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠くをはかる者は百年のために杉苗を植う
まして春まきて秋実る物においてをや
ゆえに富有なり
近くをはかる者は春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ目につく
故に貧窮す」
長期的に物事を考え、種を蒔くこと。
目の前の利益に目をくらますのではなく、ブレない芯をもち、木が自然と1年1年成長する度に年輪を刻むかの如く、遠くを見据えながら行動すること。
二宮尊徳の言葉です。
言い換えれば、場当たり的な採用は企業発展の種とならず、と言えると思います。
問題は、「今現在の採用方法で良いのか」、「もっと良い採用の仕方は無いのか」、「自社に必要な人材とはどのような人なのか」、「企業発展のもとは人材という基本に立ち返る時期ではないのか」、などに気付いてからどのように行動するかだと言えるのではないでしょうか。
なお、政府統計によれば、日本の非労働力人口のうち、就業を希望している人は平均428万人います。
この内訳を見てみますと、女性が315万人と多い結果となっております。
では、働けない理由は何でしょうか?
最多理由は、「出産育児の為」で105万人。次いで、「適当な仕事が無い」が97万人。「健康上の理由」が38万人。「介護、看護の為」が16万人。となっております。
これらの現状から鑑み、このような女性たちを積極的に採用できる土壌を作れるのであれば、求人難とはいえ、まだまだ企業発展の可能性は残されているとも言えそうです。