従業員に何かしてあげたい。
従業員が成長できる機会を提供したい。
従業員の為に何ができるだろう。
たまにこのような優しい社長さんに出会うことがあります。
これらの気持ちを持つことは素晴らしいことです。
しかしながら、従業員に優しくしてさえいれば自然と会社が発展するかの如く、このような風土が染みついている企業があります。
確かに、自主性が育つよう、従業員が成長するよう、そっと後ろから支える時も必要でしょう。
しかし、それには時間がかかりますし、それだけしていても会社は発展しないでしょう。
時には厳しくリードする、達成できるか不明なほど大きな目標を描く、そういう面も必要ではないでしょうか。
トップダウンのワンマン経営も限界がありますし、和気あいあいとした家族経営も限界があることは、多くの企業が体現していることです。
理想だけでなく、現実的な理想主義、そんなスタンスが大切ではないでしょうか。
経営理念においても同じことが言えます。
理念だけあって利益がなければ、それはただの寝言になってしまいます。
理念があってしっかり利益をだす。逆説的ですが、そのために理念がある。
どこかに重心がかたよるのではく、「中庸」。
バランスをとることがとても大切ではないでしょうか。
ご縁があり、初めてお話を聞く企業を見ていてそう思う時があります。
そして、「中庸」ということ。
あまり日常では意識しないかもしれませんが、理解する為に、「伊達正宗五常訓」が参考になるかもしれません。
本日も、歴史・古典から学ぶ為、参考までに下記に記載します。
「仁に過ぎれば弱くなる。
義に過ぎれば固くなる。
礼に過ぎれば諂(へつら)いとなる。
智に過ぎれば嘘をつく。
信に過ぎれば損をする。」
意味としましては、
「思いやりや優しさが過ぎると自己は弱くなる。
正しい行いばかりでは融通がきかず柔軟でなくなる。
礼儀正しすぎるとかえって嫌味となる。
知識や経験が増え利口になりすぎると嘘をつく。
他人を信じすぎれば損をする。」
ということです。
何事も行き過ぎはよろしくない、適度なバランスが大切ということでしょう。
また、あまり知られていませんが、上記五常訓には続きがあります。
「気ながく心穏やかにして、 この世に客に来たと思えば何の苦もなし。」
字の通り、
「気持ちをゆっくり穏やかにし、生まれてきた限り死んでゆくのだからこの世にお客に来たのだと思えば苦しいことなど何もない」という意味です。
従業員のこと、会社のこと、自己のこと、ゆっくりバランスをとる。
社長の会社、今、バランスとれていますか?
時にはこんなことに目を向けてみることで、安定した経営をすることへもつながるヒントを得られるかもしれません。