「離見の見」

 

室町時代に活躍した世阿弥の言葉です。

世阿弥は、今日の”能”に多大なる影響を与えた人物です。

 

物事を客観的にみるが非常に重要だ、ということを表しており、「見所同見(けんじょどうけん)」とも表現されることがあります。見所とは観客席のことですので、客席で見ている観客の目で自分をみなさいという意味です。

 

よく、従業員のことで悩んでいる経営者の方から相談を頂く時、この言葉がふと頭に浮かぶことがあります。優秀な方が多い経営者でも、悩み、問題を解決してゆく過程でどんどん袋小路に入り込んでいることに気付かない場合が少なくありません。問題が複雑なだけ、視野がどうしても狭くなっていくのです。

 

これ自体は自然なことですが、その状態で良い解決策が思いつく場合と思いつかない場合があります。経験済みの方もいらっしゃるかもしれませんが、考えても考えても解決策が思いつかない場合、一度、客観的に自身を見つめ、全く異なる見地からアプローチを再開することは有効です。

 

私は今ここにいて、従業員のことで悩んでいる。

良い解決策や方法は何かないかと考えている。

そんなことを考えている自分がいる。

視点を目の前からどんどん空高く上げ、自分の背を空高くから見てみる。すると自分を取り巻く環境やほかの事象が見えてきます。そして、そんなことを感じている時にふと、何か気付きを閃いたり感じたりすることがあるものです。

 

離見の見。

そのような視点をもってみることで解決することも時にはあるのではないでしょうか。