「会社理念が定まった後、従業員へ浸透させるにはどうすれば良いか分からない。」

そのようなご相談を受けることがあります。

 

企業の数だけ、取り組み方は無限にありますが、大手企業が行っている方法も参考になることがありますので、例として挙げてみたいと思います。

 

例えば、佐川急便では、「感動体験ムービー」という映像を作成し、定期的に従業員が見る機会を設けています。このムービーの中身は、各地方の配達ドライバーと配達先のお客さんのエピソードをまとめたものです。写真と言葉が音楽に乗せられて流れる内容です。

根底にある経営理念が分かるように意図して作成されています。

 

また、ニトリでは、「ニトリ大学」という制度を設けています。

その中で、経営理念研修や業務に必要な研修を数百種類も用意しており、年間では1人あたり26万円程度もかけているそうです。教育へ力を入れ、理念に触れる機会、頻度を増やしていることがうかがえます。

 

その他にも、トヨタでは「トヨタウェイ」と呼ばれる理念を実現する為、行動指針や価値観を明示しています。そして、それを実際の仕事上で利用しています。判断に困った時、誰がみても分かる一つの線をひいている、良い例でしょう。

トヨタといえば「カイゼン」が有名ですが、こういう細部にも力を入れていることが、トヨタが強い理由の1つなのかもしれません。

 

リッツカールトンでは、”クレド”と呼ばれる理念を記載した小さい紙が従業員1人1人に配られ、行動や判断する際の根底の考え方となっています。そして、年間ある一定の金額までは、自分で考え、必要な時に使用できる金銭が与えられています。これにより、東京のホテルに忘れ物をして気付いた時には大阪だったお客さんに対し、ホテルへ連絡する前に東京から大阪まで新幹線に乗って忘れ物を届けてくれた…そんな信じられないようなエピソードが生まれています。

 

クレドに関して言えば、同じようなことがJALでも行われました。経営を持ち直した原動力とも言われている”JALフィロソフィ”。

有名なこのフィロソフィは、「素晴らしい人生を送るために」という第1章からいくつも綴られています。そして、それは確実に顧客に”期待以上のサービス”を提供する原動力になっているのかもしれません。

 

また、理念の浸透方法は無数にありますし、どれが良い悪い、正解、不正解というものはありません。大企業、中小企業、他社では具体的にどんな取り組みをしているのか。これは外からではなかなか見えませんが、自社にできることを時間をかけて泥臭くやるしかありません。

 

問題は、理念はあるものの、お題目で留まっている企業です。

ゆっくりと経営理念を浸透させることができた組織は本当に強くなりますから、従業員さんと一緒取り組んでほしものです。