「命が先か、失明が先か」

言い方は悪いけど、と、前置きしながら。続けて「失明させないように、が、眼科医の使命だから」と。


かなりションボリな話である。でも、使命をもって仕事をしている、このメガネをかけた、中肉中背で少しメタボな先生が、とてもカッコよく見えた。


飛蚊症がひどくなり眼科へ駆け込んだ。先天的な網膜の疾患があり、緑内障になる確率も高い。眼底検査の写真を見ながら「順調、順調」と、呑気な台詞を吐いた先生にカチンときた。


だからと言って、言い返せるだけの何かを持ち合わせてはいない。私が黙っていると「命が先か、失明が先か」と、話し出した。そして最後に「気になるなら、毎月検診に来てください。いくらでも応じます。」と。


順調であるという状態は、千差万別である。