親の物が多すぎる

 

  親が亡くなると相続が発生し、その手続きはもちろん面倒だけど、それより大変なのが親が残した物の処分。私の母は亡くなる前に戸建てからマンションに引っ越したため、その時にかなり物を減らしてくれました。でもやっぱりまだまだあります。母が嫁入り道具として持ってきた着物をほどいた生地、大きな手鏡、風呂敷、壺、花瓶、かばん、さらに祖父母の形見まで、ありとあらゆるものがそれぞれ複数あり、どんだけ出てくるんだってぐらい出てきます。

 

  戦後生まれの世代って、物が多いほど豊かだと思っている方が多いみたいですが、私はそんなことちっとも思わない世代。物はあればあるほど心がかき乱され、時間とお金が無くなっていくと思っているので、残されれば残されるほどしんどい思いをします。

 

  自分の物を断捨離するのは特に困難ではない私でも、親の物を選別するのは初めてで、どんな基準で捨てるのか残すのかを考えるところから始めました。そして「母との思い出が残っているものだけ残す」ことにしました。

 

  こう決めて開始してみると、簡単に捨てられるものが結構ありました。手鏡、風呂敷、鞄など、見たこともなかったものは処分。手作りの巾着や手提げかばんは母がコツコツと作る姿と繋がっているし、私が使おうと思ってキープ。母の部屋に飾ってあった壺には時々頂く楓などの植物を入れて飾っています。

 

  ただ、母との思い出があっても使い道のないものが一番困るのです。母が使っていた宝石箱はちょっと昭和の嫁入り道具っぽい漆塗りのもので、見た目もあんまり好みでなければ私自身が中に入れる宝石を持っていない…。どうしよう。こういう困るものがいっぱいある…。しかも祖父母の形見ってどうすりゃいいんだ…あー、もう考えるのが面倒くさい。こんな風に処分するかしないか決められない保留のものが数年居座っています。毎年けりをつけられる考え方を見つけては少しずつ捨てていますが、全てが終わるまでまだ数年かかる気がします。

    

  私が終活をする年になったら、子どもが捨てるのに困るものは予め捨てておいてあげようと思いました。