買って失敗しないように

 

  例えばキャンプが流行っているから自分もやろうとか、テニスを始めてみようとか、思い立ったらすぐグッズを買ってそれで満足してしまい、結局3日坊主に終わる…なんていう話を時々聞きますよね。英語にも同じようなことが起きることがあります。参考書を初めとする英語の教材は世の中に溢れるほど販売されていますので、とりあえず買ったはいいけど結局少しだけ手をつけただけで挫折し、また買って挫折し…なんてことを繰り返している人、いませんか?

 

  テレビをつければナントカサプリやピンクのウサギの英会話教室のコマーシャルが流れ、周囲には確実に実力をつけている会社の同僚や友達がキラキラしていて、英語ができないと馬鹿にされそうな雰囲気が漂う世の中に住んでいれば自分もやらなくちゃ…なんて思っても仕方がありません。でもだからと言ってやみくもに手をつけることは失敗のもと。「やろう!」と思い立ってもまずは落ち着いて、「ポチッ」とする前に自問自答して下さい。

 

① そもそもなんのために英語を学習したいのですか?

  仕事上必要とされている場合はともかくとして、そうではない人が英語を学習したい場合はその目標を明らかにしましょう。例えば、

  1. 添乗員無しで海外旅行に行って自分でコミュニケーションを取りたい
  2. 英会話が必要なボランティアに参加してみたい
  3. 海外からの留学生のホームステイ先として応募してみたい
  4. 自分の好きなハリウッド映画を英語で理解したい
  5. 海外の歌手が来日したときにコンサートに行って一緒に歌いたい

などです。もし何も具体的な目標が無いのであればモチベーションが低いので長続きする可能性は低いと思いましょう。何か目標を見つけた時から取り組めばいいのです。周りがみんなやってるから、なんとなくかっこいいから、というような考えは具体的な目標とは言えませんし長続きもしませんよ。

 

② 自分の目標を達成するのに適した教材はどんなものですか?

  ①で目標を定めたら、今度は自分の目標に適した方法を見つけます。1から3までは相互理解が必要になるので、普段の学習には定期的な会話練習が必要になります。しかし、4の場合は聞く力を磨くために日英の字幕付き動画を再生速度を調整しながら慣れていくことが必要で、自ら話す練習は必要ありませんね。5の場合は発音練習が主たる内容ですが精度はそこまで必要ないので、カラオケで何度も練習すればいいわけです。もし精度を上げたいなら発音矯正の教室に通うか、YouTubeの発音専門動画で練習しましょう。

  

  こんな風に、自分の目標に近い教材を選ぶと自然と「楽しい!」と思えますし、やらなくていいものはやらないでいいと線引きができるので、途中で挫折する可能性が低くなっていきます。しかし、どんな目標を持ったとしても語彙と文法はある程度必要となってきますので、これらの学習で挫折しないように③での工夫が必要です。

 

③ 紙の教材に対する好みはどんなものですか?

  今まで買ってみたけど本棚の肥やしになっている教材にはどんな特徴がありますか?見るのも嫌かもしれませんか一度全部出してみて開いてみて下さい。案外英語がどうのこうのと言うよりも、筆写の日本語が自分には不自然に聞こえて分かりづらいとか、字が小さすぎて嫌だとか、紙面いっぱいにぎっちぎちに書いてあって読みにくいとか、挿絵が無いとか、黒インクばっかりで暗くていやだとか、そういった個人の好みの問題であることが多いです。 

     

  次に多いのは、自分が思っていたよりも難しい教材を選んでしまってさっぱり分からなくてつまらなくなったというものです。人間は誰しも実力とかけ離れたものには希望が持てなくなって気持ちが落ち込むもの。身の丈にあった難度のものを選ぶことが必要です。

 

  最後に多いのは、思っていたよりもページ数が多すぎてげんなりしてしまったというものです。1冊50ページにまとまっている教材でレベル1からレベル3までの3冊をこなすのと、いきなり150ページの教材をこなそうと思うのでは心理的負担が全然違います。今度こそ長く続けたいと思うなら欲張らず、薄いものをまず1冊こなす成功体験を積んでからステップアップしましょう。

 

  さて、こういった選択ミスを犯さないためにはどうすればいいでしょう?

 

  それには、本屋さんに足を運ぶことです!最近はネットショッピングで買い物を済ますことが多いので、他人がつけた評価を信用してついつい買ってしまいがちですが、他人は他人軸で評価をしていますので自分に合うとは限りません。最近は書店が減ってきていますが、大きな駅の近くにはまだ大きな書店があります。実物を手に取り印刷物の感触や大きさ、分厚さを確かめて、自分の好みのレイアウト、難度に合うかどうかを判断して下さい。筆写の説明が分かりやすいかどうかを判断するには、気になる数冊の同じ単元(例えば受動態)を同時に開けて比べるといいですよ。

 

④ モチベーションを維持するためにどんなことができると思いますか?

  英語の学習は得てして孤独で単調になりがちなので、モチベーションをいかに保つのかがかなり重要になります。自分が以前よりも成長したなと感じられる機会を意識して持ちましょう。英会話教室でのレベルアップを目指す、スピードを落として映画の一場面を日本語無しで理解する、海外旅行に行ってハンバーガーを注文するなど、目標に沿ったものであれば最高です。気負わず、小さなステップを確実にこなしてそれを実感していきましょう。この他にも英検やTOEICなどの試験を利用する手もあります。どんな成長があったら嬉しいですか?自分で設定してみましょう。

 

⑤ 学習を習慣化する工夫をしていますか?

  なんでもそうですが、続けてこそ実力がつきます。英語は筋トレのように積み重ねが大事ですので、毎日どこかのタイミングで5分でもいいので必ず取り組む習慣をつけると伸びていきます。例えば、好きなゲームをする前、朝ごはんの前、お風呂の前、など「何か自分の好きな事の前」にしてみませんか?ゲームの後にしよう、と思うとゲームが終わった段階で面倒になってやめてしまいますよね。ご褒美として楽しみを英語の後ろに置いてみましょう。でも、モチベーションを維持しながら英語が楽しいと思い始めたらこんな風に意識的にやろうと思わなくても勝手に続けているものですよ。そうなったら儲けものですね。
 

  ハードルを低くして、あくまでも楽しく、少しずつ、が大事ですよ。