コンクリートを破壊して。
粘土+石灰でコンクリ化した土の表面から、諦めかけていたニラの芽が出ていた。
「キミタチ、すげえ!」

雑穀の方も、虚しくなりつつ畝を切り播種してたけど、それなりに発芽して伸びてきている(発芽率は、“生産”的には散々だけれど)。
コムギもがんばってる!
それにしても、植物が発芽して育ってく力ってのは、本当にすごい。
よく、コンクリートの隙間から生えて広がってく「雑草」を見て、その生命力に感心するけど(そして、そういう隙間にご丁寧に除草剤を噴霧していく方の姿をなんとも言えない気分で見るけど)、彼ら植物にとってはそれも“当たり前”のことなんだろうなあ、とも思う。
当たり前に硬い殻の中で機をうかがい、適期を逃さず芽を出す。
当たり前に、いっぺんには発芽せず、環境の様子を見ながらまばらに地上に出ていく。
当たり前に根を張り、自分で土の中の水と養分を探す。
当たり前に、土中の微生物と物々交換する。
当たり前に光を求めて伸び、光合成する。
当たり前に、育ち、適度に繁茂する。
当たり前に、うまく育てないものは早く枯れて、仲間の養分となる。
当たり前に、より強い個体が効率的に次代へのタネを残す。
当たり前に他の生物に食べられ、他の生物の生存を助けたり自分のタネを拡散したりする。
・・・当たり前に、それぞれがいる。
とにかく、植物がさまざまな条件下で、タネという姿で生き延び、様々な種が移り変わるように繁茂して広がっていく「自然の姿」には、どうしたってかなわない力を感じさせられる。
僕が最近想像するのは、人間が突然姿を消した地球だ。
人間が絶滅か、もしくは自然と共生していたころの400万人程度の人口になり、当然都市は廃墟と化す(「都市」とは大都市に限らず。コンクリートで覆われた場所すべてだ)。
タネは飛散し、コンクリートの下で機を待っていた仲間とともに、あっという間に芽を出していく。
植物がコンクリートを破壊し、もしくはそれを利用して広がり、都市が「自然」に還っていくんだろうな。気候条件も大きく変わるから、きっと密林が増えるだろう。
ビルの上を様々な植物が覆い、ジャングルと化していく東京!
きっと、とても怪しく、美しい姿だ。
無条件に、そんな地球を見たい!(そういう映画、ありそうだな)
アンコールワット、タプローム!
*「適者生存」や「ダーウィニズム」という考えは、潔いし、生物的にはたぶん圧倒的に「正しい」のだろう。けど、上記のような感覚を持ちながらも、実は、僕はその考えはあまり好きではない。
何故なら、その論理を人間にも当てはめたがる人が多いからだ(「強者」の側にいる人ほどその傾向にある)。ちょっとここらへんは矛盾するかもしれないけれど、「だから人間も強いものが生き残ればいいのだ」とはやっぱり思えない。
同時に、今ギリギリの状態で生き続けている(あまりに弱りきって、すでに群れからは隔離して手当てしている)一羽のヒヨコを何とか少しでも延命させたいとしている自分の中の矛盾は、うまく説明できない。
仲間に踏まれもみ殻をかけられ、埋まっていた。
それからは隔離して看護している。


