不思議体験
ある二十歳過ぎの成年は、原付きに乗って人気の無い道を走っていた

季節は冬
バイクに乗ってるせいもあるのか、
容赦ない寒さが赤く霜焼けた頬や耳に突き刺さる
その冷たさは寒さを通り越し、痛いくらいだ
昔母親に怒られた時のような、まるで罵倒されてるかのような感覚にさえ似ているその寒さの痛みは、
自分で覚えはなくとも、少し気分が後ろめたくなってしまいそうだ
『あぁ~、いったい桜はいつになったら咲くのか』
『寒いのはきっと一人でいるからだ。だから余計に切ないんだな』
成年は自分に呆れるぐらいセンチな事を考え、時折その自分の馬鹿馬鹿しさに、鼻で笑いながらアクセルをひねっていた
どのくらい走っただろうか、
時間はとうに深夜になり、
辺りは静寂に包まれやがて聞こえる音は自分自身のバイクのエンジン音だけとなった。
まぁもとから人気はなかったが、遠くで他の車の走る音やクラクションぐらいは聞こえていたはず
多少な疑心を持ちながらも、成年は早く帰りたい一心で先を急いだ。
空に輝く月と星が唯一存在を表すように輝いている
そして成年が湘南乃風を口ずさんだその時だった
なんと人気の全くない道から一人のサラリーマン風の男が飛び出してきたのである
『危ねぇ




』
成年はとっさに急ブレーキをかけながらよけ、
そして振り返る
ブレーキをかけてから振り向くまでのコンマ何秒
事故った瞬間映像がスローモーションで見えるように、人間はいざとなったら凄い集中力を発揮するもので、
その時も色々な事がこの一瞬で頭によぎった
『やばっ
』
『とりあえずよけた
』
『よけた?!!誰が?俺が?!』『夜だぜ?』
『人気なかったろ』
『夜飯?!肉?魚?どっちだっていーだろそんな事
』 『受け身!無理!』
『あちゃー
』
これ全てその一瞬の事故会話…自己会話である
しかし、振り向いた先にはサラリーマンどころか、木の一本も生えてなかったのだ
そんな訳ねぇだろと思いながらも、
まぁぶつかってねぇし、
コケタのは俺だし、逆に説教してやりたいぐらいだと成年はコケタ痛みと共に、怒りを顔にあらわにした。
ところが次の瞬間、成年の目の前に一匹の狸が通ったのである
成年は怒りを一気に忘れ、
『おいおい、狸が人間化かして脅かそうってのかい?今はネットで会話する時代だぜ
』
とジョークまじりの独り言を放ったが、
ふと我に返り、これが本当に狸の仕業だというなら…と成年は思うと即座にバイクにまたがり帰路を急いだ
三年後、
成年は今だに【平成たぬき合戦ぽんぽこ】を見ると、
あの時の事を思いだし、
人間いつまでも偉そうだと、狸の逆襲にあうぞ
と、
一人シミジミしながら自然と動物に優しい生き方をしているのであった…。
めでたし
って何の話やね~ん

アンビリーバボーかぁ~い!!


季節は冬

バイクに乗ってるせいもあるのか、
容赦ない寒さが赤く霜焼けた頬や耳に突き刺さる

その冷たさは寒さを通り越し、痛いくらいだ

昔母親に怒られた時のような、まるで罵倒されてるかのような感覚にさえ似ているその寒さの痛みは、
自分で覚えはなくとも、少し気分が後ろめたくなってしまいそうだ

『あぁ~、いったい桜はいつになったら咲くのか』
『寒いのはきっと一人でいるからだ。だから余計に切ないんだな』
成年は自分に呆れるぐらいセンチな事を考え、時折その自分の馬鹿馬鹿しさに、鼻で笑いながらアクセルをひねっていた

どのくらい走っただろうか、
時間はとうに深夜になり、
辺りは静寂に包まれやがて聞こえる音は自分自身のバイクのエンジン音だけとなった。
まぁもとから人気はなかったが、遠くで他の車の走る音やクラクションぐらいは聞こえていたはず

多少な疑心を持ちながらも、成年は早く帰りたい一心で先を急いだ。
空に輝く月と星が唯一存在を表すように輝いている

そして成年が湘南乃風を口ずさんだその時だった

なんと人気の全くない道から一人のサラリーマン風の男が飛び出してきたのである

『危ねぇ





』成年はとっさに急ブレーキをかけながらよけ、
そして振り返る

ブレーキをかけてから振り向くまでのコンマ何秒

事故った瞬間映像がスローモーションで見えるように、人間はいざとなったら凄い集中力を発揮するもので、
その時も色々な事がこの一瞬で頭によぎった

『やばっ
』『とりあえずよけた
』『よけた?!!誰が?俺が?!』『夜だぜ?』
『人気なかったろ』
『夜飯?!肉?魚?どっちだっていーだろそんな事
』 『受け身!無理!』『あちゃー
』これ全てその一瞬の事故会話…自己会話である

しかし、振り向いた先にはサラリーマンどころか、木の一本も生えてなかったのだ

そんな訳ねぇだろと思いながらも、
まぁぶつかってねぇし、
コケタのは俺だし、逆に説教してやりたいぐらいだと成年はコケタ痛みと共に、怒りを顔にあらわにした。
ところが次の瞬間、成年の目の前に一匹の狸が通ったのである

成年は怒りを一気に忘れ、
『おいおい、狸が人間化かして脅かそうってのかい?今はネットで会話する時代だぜ
』とジョークまじりの独り言を放ったが、
ふと我に返り、これが本当に狸の仕業だというなら…と成年は思うと即座にバイクにまたがり帰路を急いだ

三年後、
成年は今だに【平成たぬき合戦ぽんぽこ】を見ると、
あの時の事を思いだし、
人間いつまでも偉そうだと、狸の逆襲にあうぞ

と、
一人シミジミしながら自然と動物に優しい生き方をしているのであった…。
めでたし

って何の話やね~ん


アンビリーバボーかぁ~い!!









)

