平成27年12月28日(月)のラジオ番組で、医学ジャーナリストの「松井宏夫」さんが解説したものです。
テーマ:「栄養成分に異変あり」
先週5年ぶりに「日本食品標準成分表」が改訂されたました。
その中で、ひじきの鉄分が100g当たり、58mgあったものが6mgになっていた。
これには、製造方法の変化が影響している。
ひじきは加工業者が原料の海藻を煮込んで渋みを取って乾燥したものを売っているが、煮込む時の釜が、かつては鉄製が中心だったものが、今ではステンレス製が中心になっている。
今回分析したところ、ステンレス製の釜では鉄製の釜に比べて、9割も鉄分が減っていたのである。
元々ひじきの鉄分は、6mg/100gしかない。
ひじきが鉄釜の鉄分を吸収しているのである。
鉄分の摂取基準は、成人男性の場合50mg・女性で40mgである。
つまり、昔はひじきを100g食べていればよかったが、今は800g食べないと鉄分が足りなくなるのである。
なお、現代の女性の5人に4人が貧血であると言われている。
また、野菜も栄養素が減っている。
例として、ほうれん草100g中のビタミンCが、1950年は150mgあったが、1963年は100mg、1980年には65mgになっていた。
30年で6割減ったことになる。
話は変わるが、1年を通して栄養素の成分量は同じではない。
旬の時期が一番多い。
ほうれん草は11月から2月が旬であるが、6月から10月はビタミンCが20mgと3分の1に減る。
トマトのカロテンは、年平均で364μgである。6月から9月がピークで、特に7月は528μgになるが、11月は241μgまで減る。
ビタミンCではブロッコリー・ジャガイモが季節の変動が大きい。
ベータカロテンでは、トマト・人参・ブロッコリーで季節の変動が大きい。
時期(旬)と調理法に注意することが大切なのである。