講 師:甲南大学 教授 田中修
テーマ:「植物のもつ仕組みが役に立つ」
昔は、田植え前の田んぼに蓮華草がいっぱいあった。
雑草ではない、農家が秋に種を巻いて栽培しているのである。
蓮華草の根に小さな根粒が付いている。
根粒といわれるのそ中に、菌が住んでおり、根粒菌と言われている。
この菌は、空気中の窒素を吸って、窒素肥料に変える能力を持っている。
このように肥料なる植物を「緑肥」といい、蓮華草がその代表である。
蓮華草が大きくなり、田んぼに鋤きこまれると、その体のなかにある窒素肥料が流出する。
だが、最近は蓮華草に代わりに、「菜の花」が使われている。
根粒菌はないが、どんどん成長するので、その中に成長に必要なものが沢山含まれているので緑肥になる。
しかも無駄がない。花は食用になり、葉と茎は緑肥に使われ、種は「菜種油」になり、そのしぼり粕は家畜の飼料になる。
しかも菜種油は、使用後のバイオ燃料になる。
その他に、「ひまわり」も緑肥に使われる。
根に「菌根菌」が集まり、「リン」を集め吸収する。
マリーゴルドは、土壌にいる線虫をやっつけてくれる。
クルミの葉が地面に落ちて分解されると、雑草の発芽を抑制する物質になる。
蓮華草も腐敗していくと雑草の発芽や成長を抑える物質を出す。
背高泡立草は、根から他の植物の発芽成長を抑える物質を出す。
アブラナを緑肥に使うと薩摩芋は病気になりにくなる。
(以上)