著書名:日本の三大宗教

著 者:歴史の謎を探る会

出版社:河出書房新社



 神道の概念に「穢れ(けがれ)」がある。「汚れ」に似ているので同じ意味と思ってしまうが全く違う。

 もとは、「気枯れ」に由来する。「気」は「霊」のことであり、それが枯渇した状態をいう。

 つまり、穢れとは「死」に繋がるものなのだ。


 穢れは不浄とされ、死人がでた家は、穢れを他人におよぼさないように、昔は外出さえ禁じられた。

なぜなら、穢れは「伝染する」とされたからだ。この「穢れ」の期間が「喪」である。


 現代でも、家族を亡くした人が「喪中です」と年賀状を出さないのは、この考え方の影響を受けたもの。

「私の母が死んで悲しいので、おめでとうという気持ちにはなれない」からではなく、死者を出すと穢れになるので、それを他の人にうつさないために、交際を避けなければならないからなのだ。


 また、「穢れ」は犯罪の原因ともされた。

気が枯れると、精神的に不安定な状態になり、罪を犯しやすくなると考えられたのだ。