平成27年 第4回 富田林市議会定例会(12月議会)④ 議案第63号 民事調停の成立について | 富田林市議会議員 伊東寛光オフィシャルブログ「議員って普段、何してる?」Powered by Ameba

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【議案第63号 「民事調停の成立について」 賛成討論を行いました。】

 ご指名頂きました、議席番号18番の伊東寛光でございます。
 本議案につきまして、賛成の立場から討論をさせて頂きます。


 本調停条項案から読み取れることは、本件過払い問題を発生させたことについて、「責任は市側にある」、「市が一方的に悪い」ということです。

 しかし、本当に「市」だけに責任があるのでしょうか?
 業者側が過払いを認識していた可能性は無いのでしょうか?

 過払いを認識していなかったとしても、認識していなかったことについて「過失無し」と言えるのでしょうか?

 「調停条項案 第1項 前文」によると、「過払の委託料に関し、相手方らの故意又は過失を前提とする不法行為責任を認めるのは困難であるし、(中略)不当利得を認めることも疑問がある」との記載があります。

 しかしながら、平成27年3月末の時点で、委託料算定人口と実際汲取人口との間に2倍以上の開きがあったことから考えれば、業者側が過払いが発生している可能性について認識していなかったというのは明らかに不自然であり、また、認識していなかったことについて過失が無かったというのは、無理があるように思います。

 また、市が業者側と締結している「一般廃棄物収集運搬業務委託契約書」の第5条 第5項によれば、「受注者は、業務を実施した日ごとにその実績を発注者が定める業務日報により速やかに報告しなければならない。」と定めているところ、し尿の収集運搬に関しては、業務日報による報告は一切無かったという事実も判明しました。

 業務日報による報告が無かったことについては、契約内容に含まれているにも関わらず、市側が報告を求めていなかったという過失もありますが、履行を怠った業者側の責任も大きいと考えます。

 更に、業者は、し尿の収集運搬業務について、台帳も日報も存在しないとして、市側が提出を求めた関係資料を提出しなかったとのことです。

 市民の生活に密着したサービスについて、市から委託を受けた重要な業務であるにも関わらず、「サービスの提供先についての情報」を管理していないだけでなく、「いつ、誰が、どこで業務を行ったのか」についての管理もなされていない、というのは疑問を持たざるをえません。

 仮に、台帳も日報も本当に存在しないとすれば、そのような管理体制しか持っていない業者に、今後も委託を続けるというのはいかがなものかと思います。


 この点、「調停条項案 第2項 第5号」には、「申立人は、相手方らに対し、平成28年度以降の一般廃棄物収集運搬業務委託契約その他申立人との契約やその手続きにおいて、本件を理由にして相手方らの不利益となる取扱いをしないものとする。」との記載があります。これは、平成28年度以降もこれまでと同様、随意契約により同業者との契約関係を維持することを前提としているようにも読めます。


 しかし、本件はそもそも、過払いが発生していることにつき、仮に業者側が認識していたとすれば刑法に触れる可能性が有り、認識していなかったとすれば管理能力を疑われるような事案であり、業者との契約関係の維持を前提とする文言が入っているというのは、市民に対して説明が付くようなものではありません。


 また、市民への説明責任という観点からは、「調停条項案 第2項 第7号」に、「申立人と相手方らは、本件に係る交渉経緯及び本件調停の内容を第三者に公表する際には、本調停条項に基づくものとする」との記載があります。これは、市民に対して提供できる情報を制限するものです。

 この点については執行部に一定のご配慮を頂いたようで、市民総務常任委員会の中で、交渉の経緯の一部が明らかになりました。

 しかしながら、本件は、市側が業者に対して約2億6900万円(別途利息)の過払金返還を求めていたところ、業者側が約1億4500万円(利息無し)の解決金を支払うとの調停案であり、単純に比較した差額だけで、市側の主張から1億2400万円の減額、利息も含めると更に大きな減額となります。

 市側が明らかにした交渉経緯だけでは、到底、市民が納得の行くような説明ができるはずもなく、そもそも、調停の段階では市側は充分な主張を行ったようには思えず、本調停を成立させることに疑問を持たざるをえません。


 また、「調停条項案 第1項 前文」では、解決金は「過去10年分の委託料過払額のうち、調停委員会が(中略)相当と認める金額」とした旨が記載されております。

 この記述からは、過去20年間の過払いのうち、初めの10年分については、業者に求めるのは相当でないとの判断がなされたということが読み取れます。

 調停条項案全体の趣旨からすれば、初めの10年分については、「業者」には求めることは難しいというだけであって、「過払金自体が存在しない」と言っている訳ではありません。

 本調停が成立すれば、初めの10年分については過払金の返還がなされないことが確定するのと同時に、返還がなされない過払金と同額の損害を市が被ることが確定し、過去の市の担当者、管理職、執行部、理事者など、それぞれの職責やそれぞれの故意、過失に応じた損害賠償責任が発生する可能性があると考えます。

 この点、執行部は、本調停が成立すれば、この調停で「業者への請求」は認められなかった最初の10年分も含めて解決済みとする見解をお持ちのようですが、先に述べたように、執行部の見解に合理性があるようには思えません。

 市が被る損害は市民全体の損害であり、原資は市民が納めた税金であります。

 私は、市民の声を代表する議員の1人として、市が被った損害に対する責任、本件のような大問題を引き起こしたこと自体に対する責任については、引き続き、追及して参る所存であることを申し添えておきます。


 本件は、これだけの大きな問題を抱えている事案ではありますが、一方で、本訴に移行した場合のリスク、すなわち、敗訴のリスクや更なる減額のリスク、訴訟費用、問題の早期解決という観点も、充分に考慮しなければならないと考えております。

 これらを総合的に判断すれば、本件を成立させた上で、残余の責任は別途追及することとするのが、市民の利益に適うと考えるに至りました。

 よって、私は本議案に賛成致します。

 以上、賛成の討論とさせて頂きます。
 ご静聴、有り難うございました。