G7が終わったが、結果的には殆ど何も意味のないもので終わったと言えるだろう:




G7が協調対応で合意、財政再建の必要性訴えるも具体策なし
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110910-00000266-reu-bus_all


”日米欧7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は9日、世界経済の減速に協調して対応することや財政再建の必要性などに言及した「合意事項」を取りまとめて閉幕した。

 安住淳財務相は会合で最近の円高に懸念を表明したが、合意文書の為替をめぐる表現は、G7が電話会談を行った8月にまとめたものを踏襲した。

(中略)


 <為替めぐる表現、「両論」据え置き>

 合意文書の為替市場に関する表現は、政府・日銀が大規模介入を実施した直後の8月8日の電話会談でまとめた内容を踏襲。「市場で決定される為替レートを支持することを再確認」しながらも、「過度の変動や無秩序な動きは、経済・金融の安定に悪影響」と懸念を表明する両論併記となり、「緊密に協議して適切に協力する」方針も維持した。

 就任後初の外遊となった安住財務相は、会合で「機動的に投機的な動きには断固たる措置を取ること」で理解を求めたが、円高の是正措置を講じる考えを示したことに「発言を求めた国はなかった」という。同行した財務省幹部も「日本の為替政策に異論は出なかった」としている

 <「共同声明」には参加国から異論>

 今回G7が取りまとめたのは、「声明」ではなく「合意事項」。安住財務相は「普段なら(G7は)非公式会合で(声明は)出さないが、合意事項を出したところにG7全体の危機感、現状認識が表れている」と胸を張った。しかし、ドイツ政府筋によると、議長国のフランスが共同声明の発表を望んだのに対し、他国から異論が出たという。会合は終了予定時間を超過し、夜遅くまで続いた。”



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このG7で、日本の円高介入に対して「理解を求めた」とされ、それに対して安住財相も、上記の財務省幹部も、”異論が出なかった”から賛同されたと評しているが、これは恐らく誤解か、あるいは、希望的観測を言いふらしているだけに過ぎないと思った方が良いだろう。



実態的には、恐らく、日本以外のG7は日本の円高介入の効果が一時的・限定的に過ぎない、という理解に立ったうえで、単独での介入に対しては’無視するに限る’’ノーコメントで通した方が得策’と考えたに過ぎないと思っていると理解した方がよい。



実際に、市場側のホンネを理解する上で、同じロイターの次のような記事は参考になる:




震災半年:円高・株安の波状リスク、対症療法もう限界に
http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPJAPAN-23117420110909?rpc=123


”震災からの半年間は日本の金融政策と市場対応の力量が試される局面でもあった。円高、株安とマーケットからの逆風に対し、日本の当局は円売り介入、日銀による資産購入などで応じたが、いずれも「対症療法」の域を出ていない。

 介入は企業のドル売りをためらわせ、一段の円高を呼ぶ火種を残したほか、日銀のETF購入枠の拡大が市場の活力を低下させるなど、その対症療法がもたらした副作用も小さくない。


(中略)


日銀の対応は円高による日本経済の圧迫を懸念した措置だが、すでに市場にマネーがあふれ、金利が歴史的な低水準にある環境では、その効果も限られる。「政治的圧力をかわすための(日銀の)ポーズに過ぎず、もはや金融緩和に円高抑止効果を期待するシンプルな考え方は、現実的ではない」とプルデンシャルインベストメントマネジメントジャパンの坂口憲治・投資運用本部長は手厳しい。 

 急ピッチな円高進行を受けて、昨年10月に鳴り物入りで導入された資産買い入れ等基金。だが、当時の為替レートが1ドル=83円前後だったことを踏まえれば「円高抑止効果はなかった」と、ある欧州系銀行の関係者は言い切る。 


 また短期金利と長期金利の差で収益を稼いでいる金融機関にとっては、行き過ぎた金利低下は収益環境の悪化につながる。運用難がより色濃くなり、収益源が損なわれれば、本業での貸し出しがさらにおざなりになり、政府・日銀の対策は、かえって復興を阻害する要因になりかねない。


 日銀からあふれ続けるマネーに金融機関も満腹気味だ。0.1%で3カ月間と6カ月間資金を貸し出す固定金利オペは、応募額が募集した金額に届かない札割れ寸前の場面もあり、参加者からは「資金需要云々にかかわらず、大手行が暗黙にきっちり満額回答(1回あたり、2000億円程度)しなければ、日銀コミットが形がい化しかねない」(邦銀)との声も聞かれている。


 株安にせよ円高にせよ、短期的には政策対応の効果はあるとしても、長期的には日本の成長力を上げていくしか解決策はない。ゴールドマン・サックス証券・日本経済担当チーフエコノミストの馬場直彦氏は、野田首相についてこれまで現実的な方針を示していると評価したうえで「第3次補正予算を早期に成立させると同時に、環太平洋経済連携協定(TPP)の締結などを通じて日本の成長力を引き上げるべきだ。TPPには反対も多いが、韓国などがTPPによって輸出で優位に立ち始めている。TPPを実施しない場合のリスクを考えるべきだろう」と述べている。”



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公平性の観点から付言しておけば、対処療法しか見いだせていないのは何も日本政府・金融当局だけではない。上記G7でも対処療法に留まるから結局各国利害の一致が見られず、何ら具体策が示されない。



このブログでも繰り返し書いてきたが、リーマンショック以降の金融危機対応に関して、日米欧とも根本原因を理解しておらず、従って根本的な治療方法を見い出せていない。ある意味、仕方ないことだが、これまでの経済学の教科書に依拠している限りは「想定外」の事態である。



このまま進めば世界経済の回復は一層困難となり、最終的にはいつか来た道、即ち、大戦争によるスクラップ&ビルドしか残らない。



パラダイムシフトの方策はあるのだが。。。