子ども手当の廃止が決まったらしい。




早期解散を要求=自民総裁、子ども手当廃止「政権の正統性ない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110804-00000071-jij-pol


”自民党の谷垣禎一総裁は4日の記者会見で、来年度からの子ども手当廃止で民主、公明両党と合意したことについて「民主党が政権の看板政策を取り下げたことで政権の正統性は損なわれた」と指摘した。その上で「国民と約束した主要政策を転換する以上、選挙で信を問う手続きが必要だ」と述べ、早期の衆院解散を求めた。

 一方、自民党の石原伸晃幹事長は国会内で記者団に「子ども手当法案は財源が全く安定しておらず、そういうものと決別できて満足している」と表明。同党の町村信孝元官房長官は町村派の総会で「子ども手当で合意したからといって、自動的に特例公債法案に賛成することにはならない」と民主党をけん制した。”


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元々、民主党の「子ども手当」は、哲学が無く、制度設計が’児童手当の延長’に過ぎないものであったから、彼らに真摯に取り組む姿勢は見られなかったし、廃止が決まってもいまさらという観が無くもない。おまけに、私がこの分野で最も批判している「幼保一体化 ≠ 幼保一元化」の問題がそのままなので、いまだに国民をだまし続ける民主党の姿勢は厳しく糾弾し続けなければならない。



しかし、である。



今回の廃止騒動も、総選挙で敗北した恨みから自民党は執拗に攻撃をし続けたが、彼らから、結局ついぞ、『少子高齢化問題』に関する提言は見られなかった。



語弊はあるだろうが、震災以降、「震災復興」が絶対視されている現状は誤っていると言わざるを得ない。率直にいえば、東北地方に10兆円とか、人によっては30兆円というが、これだけ多額の公金を投入して、さて『投資効果』はあるだろうか?と問わざるを得ない。震災復興に投資効果という経済原理を持ち込むな、という人もいるかもしれないが(というか、多いだろうが)、所詮借金して投入される公金である。最終的には、将来、復興してそれ以上の税収効果が見込めるのでなければ、借金返済のメドは立たない。ツケは将来世代に回される。



確かに震災・津波で多くの命が失われたが、それよりも少子高齢化の問題の方が遥かに大きい。人口動態調査を見れば明らかだ。



「人口統計資料集(2011)」
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2011.asp?fname=T01-05.htm&title1=%87T%81D%90l%8C%FB%82%A8%82%E6%82%D1%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%97%A6&title2=%95%5C%82P%81%7C%82T+%91%8D%90l%8C%FB%81C%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%81C%90%AB%94%E4%82%A8%82%E6%82%D1%90l%8C%FB%96%A7%93x%82%CC%8F%AB%97%88%90%84%8Cv%81F2005%81%6055%94N



推計でしかないが、今年2011年の人口減は264千人。誤解して欲しくないが、死者数ではない。死者数から出生数を引いた、人口減少の数字である。これだけでも大震災・津波の被害の10倍に上る。おまけに、この数は年々増えて行き、2039年からは100万人を超えて人口減少が加速する。



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子ども手当、という’手段の妥当性’を議論し、それが結局廃止となることは仕方ないが、野党側もこのような大震災・津波以上の大問題である少子高齢化について何ら提言しない、というのは責任ある政治家の姿勢とは到底思われないのである。



結局、票のために年寄りしか見ていない政治家しかいないこの国は、やはり衰亡の運命にあるのかもしれない。