脱原発ムードが蔓延しつつあります。多くの論調が感情的、極めてセンチメンタルなもので、たいてい議論にすらならない。


「リスク」を考えるのはいいことですが、それなら、我が国、日本人を取り巻くもっと大きなリスク、についての議論があってよい。



以前にも指摘しましたが、原発事故は「事故」であって、そこには少なくとも誰かを殺そうとか、健康に危害を加えようという”悪意”はない。


しかし、同じ核でも軍事用核、すなわち、核弾頭・核爆弾は別です。当然の事として、それらは明確な’殺そう’という意図から生じている。



脱原発の前に、脱核兵器を訴えよ



というのが、リスクの観点からいえば最初に為すべき議論なわけです。


とうぜん、これは北朝鮮・中国を念頭に置いている訳ですが、すぐ隣の国で核軍備をせっせと進めている現状で、いくら国内で脱原発を訴えても、順序が逆だよ、というしかない訳で。



また、埋蔵電力なぞという、またぞろ何だか魔法の小箱が出てくる訳ですが、自家発電といったってガスや重油を燃やしているだけのこと。それから発生するCO2ももちろんですが、そもそも原油・ガスの安定調達がどれほど大変なことか、誰も知らずに勝手に言いたいことを言っている。



誤解を恐れずにいえば、核で死んだ人よりも、油のために死んだ人の方が圧倒的に多い訳で、そこからいえば、原子力は石油よりも遥かに安全なエネルギー源である、と。



たまさか事故が起きて、比較的身近な人たちが危険に晒されたために大騒ぎしている人たちが多い訳ですが、第2次大戦という、一面、アブラのための戦争で日本人がどれだけ死んだか、また、未だに石油を巡って世界中でどれだけの人間が毎日死んでいっているか、おそらく、騒いでいる人たちには想像力が欠如しているのでしょう。