都知事選が終わった。現在、10時半前、まだ開票は途中であるが、大きくは変わらないと思うので、この時点で考評しておきたい。



まずは、何よりも喜ばしいのは投票率。前回投票率54.35%に対して、今回は結局57.76%と3.4%ポイントも上昇した。大震災直後で選挙運動もかなり控えめであったこと、いずれの候補も難アリで結局は消去法で選ばざるを得なかったこと、を考えれば、この投票率の上昇は都民の良識を反映したものと素直に評価したいし、政治を志す者としては率直に感謝申し上げたい。この港区でも前回52%に対して今回56%弱と同様に上昇している。喜ばしい限りだ。


<参照: 東京都選管発表・投票結果>

http://www.h23tochijisen.metro.tokyo.jp/sokuho/h23chi_tou_2200.html



結果については、石原・現都知事の四選となったことで、石原批判者としては残念である。しかし、得票数を見てみると:


石原氏= 約88万票(得票率=42%)

東国原氏=約60万票( 〃 =29%)

渡邊氏= 約35万票( 〃 =17%)

小池氏= 約25万票( 〃 =12%)


(東京都選管・22時現在の発表、開票率=34.32%)


http://www.h23tochijisen.metro.tokyo.jp/sokuho/h23chi_kai.html



となっており、東国原氏と渡邊氏の合計では石原氏を上回る。前回、2007年の都知事選で石原氏vs浅野氏で280万票vs170万票と、遠く及ばなかったことを思い起こせば石原都知事の失墜ぶりは顕著と言っていい。勝った石原都知事も全面勝利ではないことを肝に銘じて頂きたい(とはいえ、同氏にそうした期待は無理だろうが)。


(参照: 2007年開票結果、東京都選管: http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/h19tijisen/tiji_kekka/h19chi_kai.html  )



さて、勝利後の記者会見等を見ていて、やはり改めて石原都知事の批判を強く申し上げておきたい。



言ってることは無茶苦茶である。例の、「天罰発言」こそ繰り返されなかったものの、「我欲の戒め」を繰り返し言っている。一方で東京は日本経済の何とやら・・・で経済活動重視も言う。しかし、経済活動の根幹は「消費」である。ましてや、内需主導型の経済にとっては消費の活性化は不可欠だ。倫理観を振りかざすのは結構だが、行政の長としてのバランス感覚は相変わらず期待できない。



そして、未だに法人住民税で国に吸い上げられた財源の話を繰り返していた。ほとんど、年寄りの繰り言に過ぎない。「東京のカネ」というが、本社機能が東京に集中する現状で、しかしながら今回の大震災でも見られたように「国土の均衡ある発展」のために、ある程度の富の再配分が欠かせない以上、この点だけをとやかく言っていても生産性はない。むしろ、東京オリンピック招致基金の4000億円の解放をしないで、改めて招致活動を継続するかの如き発言は都民の多くの支持を得られるものではない。無理やり招致活動をやったところで前回同様、落選するだけのことだ。



大震災直後で、現状(ステータスクオ、status quo)維持、を求めた都民の意思は尊重すべきではあるが、その現状維持は無限定で4年間付与されたものと考えてはならない。既に、石原都知事の時代は終わったのだ。



この考察の下、改めて重要となるのは、都議会の在り方だ。石原都政の否定で都議会民主党が第1党になったものの、都議会の状況は何も変わっていない。国も都も、民主党には何も期待すべきでないことをいい加減都民は嫌と言うほど分かった筈だ。願わくば、都議会がリコールされて改めて選挙となればいいが、それが期待薄である以上、あと2年間、2013年まで辛抱するしかない。その時までに、私ももっと力を付けていたいと、改めて感じた