ご指摘、というか、ご下問、というかを頂戴しましたので、私の考えを述べておきます。




結論としては、現段階で死刑制度について論議することは余り生産的ではないでしょう。




これは与野党を問わず、だろうと思いますが(但し、この点は不思議に感じています)、死刑制度に対して根強い廃止論者がいる一方、未だ世論の大勢は死刑制度存置だろうと思われます。裁判員制度導入の一つの背景として、死刑という極刑を課すに際して、一般の裁判員がどのように考え結論つけるだろうか?ということもあると邪推(?)しているのですが。




私自身は、死刑制度存置、更に言えば寧ろ強化すべきであろうと考えています。強化のポイントは:




1) 先ず、現行の判例のなかで”相場化”している、被害者が1人の場合は死刑を適用しない、という事実上の壁を撤廃すること。




2) 次に、現時点でも遅過ぎる死刑執行を法律上の確定から6ヶ月以内に近づけていくこと(但し、再審請求その他により確定後といえども冤罪の可能性が指摘され争いがあるケースは除く)。




の2点でしょう。残念ながら、前者については飽くまで司法判断の範疇で、法令上強制化することは(技術的に)困難ですし、時間を掛けて、被害者・遺族の参加制度や裁判員制度での議論の趨勢の中で醸成されることだろうと思います。




また、後者については、特に現時点で死刑廃止論者である千葉法相の下で死刑執行が為されない、或いは大幅に遅延される、恐れが懸念されます。本来、これは国会においてキチンと千葉法相に対する質疑により追及すべきものですが、冒頭申し上げた如く、自民党内にも死刑廃止論者は少なくなく、現に自民党の法相時代にも死刑執行が為されなかったことがあり、恐らく追及することはないでしょう。




私自身は、犯罪に対して断固たる態度を採ることは保守の一つの根幹ではないか?と考えていますが、公式に議論される場は無いでしょう。




上記のような考えから、現時点で(残念ながら)死刑制度について議論する現実的なメリットは乏しいといわざるを得ません。