いま現在、長野県内に実家がある身としても、関心はあるのですが:
リニア中央新幹線 長野県議会が決議採択
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000004-san-l20
”長野県議会は9月定例県議会最終日の9日、リニア中央新幹線について事実上、諏訪や伊那谷を経由するルートでの整備促進を求める決議を賛成多数で採択した。
決議では、平成元年に伊那谷を経由するルートを県会決議して以来、長年にわたり取り組んできたことを強調。「より多くの県民が利用でき、地域経済活性化に寄与するルートや複数駅の実現」を訴える一方、「あたかも国の決定のごとく表明している」として、JR東海が南アルプスを貫くルートや1県1駅と表明していることを批判する。
望月雄内議長は閉会後、「B(伊那谷)ルートという県民の総意を表すことができた」と話した。一方、全議員の3分の1にあたる17人が反対したことに、飯田市区選出の古田芙士県議は「数字はうそをつかない。議会の決議は全会一致でやらないと」と不満を示した。”
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先ず、長野県議会が勘違いをしていないことを祈りますが、現在JR東海が推進しようとしているのは:
公共事業ではなく、飽くまで民間一企業としての事業プロジェクト、としての中央リニア
であるということです。JR東海の置かれた経営環境としては、片や飛行機(尤も、大阪の関空偏重でこちらは余り強敵では無さそう)、片や高速道路(1000円均一や無料化などで、こちらは脅威を増す)、という競争環境下に置かれて、(ほぼ唯一の)ドル箱路線である東海道新幹線と並ぶ収益路線の確保が必要、と言えます。
現実性に対する?はあるものの、日本においては極めて珍しい、完全民間資金による大型プロジェクトとして政治・行政上の手続を可能な限り簡便化して早期に着工・実現しようとしてもいます。
コレに対して、長野県議会が 【要望を言うのは自由】 ではあるものの、民間企業の経営判断に強制力を持って介入しようとすることは不可能です。
ルート変更や駅の増設に係る直接費用や、コレに伴う競争条件劣化に伴う間接費用、を長野県が独自に支援する、というのであれば、分かりますが、(恐らくいまだに?)長野オリンピックの膨大な負債を抱えた県財政でこうした ”カネを出すから、クチも出させろ”というアプローチは無いでしょう。
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今回の決議は逆に、3分の1の反対を確認した、という点で、長野県としての一致した利益、ではなく、多数とはいえ飽くまで一部の利益、としてのBルート要望を確認しただけに終わったように思えます。
これによって民間企業の経営判断とどう対峙しようというのか?戦略性のない地方議会の姿がそこに浮かんでくるようにも思えます。
地域特性的に考えても、歴史背景的に考えても、道州制が見通されるなか、『県としての在り姿』 を問われているとも思います。個人的には道州制が導入されれば分割されてしまう運命にもあると思うので。