先ほどの記事、公開して良かったです。早速、鋭い、かつ、有難いコメントを頂戴しました。余りに鋭いので、いい機会ですし改めて私の考えをまとめておきたいと思います。




小泉純一郎をどう評価するか?




結論から言えば、50%賛成、50%反対・・・というところでしょうか?




政治家、特に内閣総理大臣、というのが良くも悪くも、”そこそこレベルで抑えておく”のが常道であるとすれば、例外中の例外で両極端に評価が振れる、という特徴があるように思えます。恐らく、歴史的評価でいえば、田中角栄以来、という感じですね。




先ず、評価ポイントから言うと:




・ 小泉改革自体は概ね必要(又は必要悪?)だった、と評されます。




バブル崩壊後、ITブームに沸いた極く短い期間を除けば景気低迷に喘いだ日本の最大の問題点は;


バブル時に発生した過剰生産力、と、

それまでに醸成された(永遠に続くと誤解された)公共工事依存体質、という過剰生産力


でしたから、この問題に対処するためには「構造改革」が必要でした。竹中氏主導で為されたために米国流、という評価がありますが、確かに米国からの圧力は認められるものの、その内容は日本の国益の観点からも容認・推奨されるものであって[でなければ、あの郵政選挙大勝はあり得ない]、端的には;



族議員とその集合体としての派閥主導政治、そしてその周縁に存在する一部省庁と一部団体



の破壊、に象徴されます。スクラップ&ビルド、が世の常であるとするならば、小泉改革は見事にその『スクラップ段階』を成功させたと言えるでしょう。



・ また、外交的には北朝鮮に拉致問題を認めさせ、一部とはいえ、被害者を救出したことが特筆されます。



***




では、批判ポイントはどうなるでしょうか?



・ 「聖域無き構造改革」・・・これはキーフレーズとしては成功しましたが、本当に聖域を設けなかったため、特に『教育』が破壊されたこと(予算的に、の意。内容的にはこの時点で既に導入されていた「ゆとり教育」で十分破壊されていましたから)。


 有名な「米百俵の精神」は本質がすり替えられ、ガマンの中で『何を優先してオカネを使うか?』が議論されず、結局ガマンだけに終始したと考えられます。



・ 「靖国問題」に拘泥し、対中戦略を大幅に遅延させたこと。



そして、何より・・・



・ 結局は、政権放り出し、をしたこと、でしょう。折角、森院政からの脱却が図られつつあったのに、易々と権力を戻して安倍政権を誕生させたこと、によって;



・ 肝心の「ビルド段階」で成長産業の保護育成という、成長戦略を失速させた

・ 旧自民党の集票構造を破壊し、代替的に選択した創価学会・公明党依存体質を構造化させてしまった




***




但し、政治家の最期の姿、として自民党の崩壊を見届けて引退したこと、潔く身を引いたこと、は評価して良いと思われます。




あと、次男坊がどうするか?は彼自身の問題であり、また、有権者の判断ですから、ね。