米HPが4月5日に発表した“世界最薄”をうたう13.3型ノートPC「HP Spectre」、かっこいいですよね。何といっても天面に輝くミニマムな4本の斜線で構成された新しい「hp」ロゴ(以下「4本斜線ロゴ」と呼びます)が目を引きます。

【これまでのロゴは「丸にHP」でした】

 「でもなんか、これ見たことある気がするなぁ」と思っていたところ、実はまだHewlett-Packardが分社化する前の2008年に作られていたロゴだったのでした。私は多分、海外メディアが紹介していた画像を見たんだと思います。



 デザインしたのはMoving Brandsというロンドンに本拠があるデザインスタジオ。日立やソニー、Googleからの仕事も請け負っています。



 米国ベンチャーのはしりと言ってもいい1939年創業のHewlett-Packardも、いろんな会社を買収して事業の幅を広げていくうちに新進気鋭な企業文化を失い、企業としての統一感もなくなっていきました。危機感を持った同社は2008年、Moving Brandsに向こう10年間の(つまり2018年までの)企業ブランドのビジョン構築を依頼しました。



 Moving Brandsは、Hewlett-Packardの創業当時からある小文字イタリック(角度は13度)の「hp」ロゴを尊重し、それを発展させる形でのロゴ変更を提案したようです。



 ところが、結局「Progress Mark」と名付けられた4本斜線ロゴは企業ロゴとしては採用されず、お蔵入りになってしまいました。こんなデモ動画まで作ったのに。



 そして、Hewlett-Packardは2014年10月にエンタープライズ事業とパーソナル&プリンティング事業を分離すると発表。ノートPCを販売する会社はHP Inc.になりました。そのときも企業ロゴは変えませんでした(エンタープライズの方は緑になりました)。



 今回のSpectreで急に4本斜線ロゴを使うことにした経緯は不明ですが、「かっこいいノートPCを作ろう!」ということになったときに、誰かが「そういえばお蔵入りにしたあのロゴを付けたらよくね?」と提案したんでしょうね。



 HPになってからリリースされてきた同社の製品ロゴはまちまちです。例を挙げると、2015年7月に日本で発売の「HP Pavilion 11 x360」はおなじみの「丸にhp」、10月発売の「HP Spectre x360」はHEWLETT PACKARDって書いてありました。



 米The Vergeによると、HPは4本斜線ロゴを今後も製品に使うことにしたそうです。せっかく作ってもらったかっこいいロゴが日の目を見てよかったですね。



[佐藤由紀子,ITmedia]