その子の最後の挨拶をしてた時、何ともいえない温かい気持ちになった。
その子はアルバイトもしたこともなくて社会に出ることが初めてだった。
しかも新入社員の中でも1番手が掛かる可能性有りと言われた学生時代はラグビー、一筋の男の子。右も左も分からないその子がサービス業という世界に足を踏み入れ私の職場に研修に来た。
本当に何も知らない、その子の行動は毎日驚くことばかりで唖然としたけれど、とても素直な子だったからしっかり人の声に耳を傾け真面目に働いていた。
社会の常識もサービスの仕方も教えている全てがその子にとって初めてだったから吸収も割りと早かった。
そして思った。
この子は教え方次第でどんな色にも染められると。
何も知らない男の子は、1ヶ月たってほんの少し成長した。
厳しい研修の中で心折れて行く子が多い中、その子は最後の会話の中で迷惑ばっかり掛けてしまったけど楽しかったですと目をキラキラさせて言った。
嬉しかった。とても。
1ヶ月間という短い時間の中で、私が今まで経験した事を教えるのは確実に無理。
それならこの子には社会に出ることや仕事って結構楽しいよって事を伝えられればと思い指導した。
怒ることも多々あったけどそれ以上に褒めた。
だから楽しかったですと言われた時、私の想いは届いたんだと思い嬉しい気持ちになった。
この子に私の想いを届ける事が出来たのは全てはご主人様のお陰だと思ってる。
今まで、何人もの新人教育をした。
だけど、今までは私に適当な部分があった。
どの道教えたところで1ヶ月でいなくなるしとか、自分でやったほうが早いとか、相手の事を深く考えた事なんてなかった。
今回はご主人様に出会ってから初の新人教育だった。
親心を持ち常にfor youで相手を認め、そして赦す。
ご主人様の信念は一緒にいる間に自然と私にも身に付いてきているのかもしれない。
相手に何かを求める時は自分も本気でぶつかっていかなくてはいけないんだと思う。
想いは必ず伝わる。
次の研修生が挨拶に来た。
緊張してますが頑張ります。と
とても不安な表情をしながら女の子は言っていた。
この子の1ヶ月が充実したものになるように私は全力を尽くす。