今、政治や経済の場で、いやマスコミも含めて、金融危機が実体経済に及ぼす悪影響という論調が根強いのを不思議に思うのは私だけだろうか。


サブプライムローンを発端としたアメリカ発の金融危機が世界経済を危機に陥れている。という論調に疑問を抱く人はいない。経済不況の犯人が金融危機だと世界を挙げてのプロパカンダである。


G20でも、そうした考え方に基づき、金融工学や金融機関に関する規制や圧力を強める方針を全会一致で決めている。


しかし、何故、そういう商品が出て世界中を震撼させるに至ったのかということを誰も考えない。その理由は一つしかない。実体経済において、資本投下による金利が稼げないほど経済が悪いからではないだろうか。


世間一般では、資本家やオイルマネーによってそういう状況が引き起こされ、世界中の人が職を失い、お金を失っているという考え方である。しかし、一部の資本家と巨大といわれるオイルマネーよりも遥に莫大な資本を有しているのは、世界中の庶民である。


もちろん、一人一人の額は少ないが圧倒的な数によって、巨大な資本となるのではないか。そういう人たちにも虎の子の預金を少しでも増やしたいという欲望はある。その欲望を満たす為に、金利を生み出さなければならないのではないだろうか。


大勢の人たちの僅かな願望が集まると強大な力となる。それは、資本家やオイルマネーと呼ばれる巨額の資金さへも飲み込んでしまうのではないだろうか。


本来の資本主義であれば、そういうものを産業に投資し配当や利息というもので満足させることが出来るようになっていたはずである。しかし、投資すべき新たな産業がなくなると、大衆の望む金利を生み出す投資対象はなくなる。


特に、先進国においては様々な環境が整い、新たな巨大な投資を促す余地がないのである。つまり、金利を稼げる余地がなくなっている。これについて政治や経済は明解な答えを用意できないのである。だから、そういうものを生み出す金融を規制しようとするのであろう。


資本主義が生まれて200年ほど続いた伝統が、今崩壊しているのである。この規制は、それにしがみつこうとする態度であり、沈み行く船にしがみつくのと同じ結果を生むのではないか。


何度も言うように危機とは機会つまりチャンスなのである。乗っている船が沈みかけているのを遅らせることは出来るが、止める事は出来ないのである。規制という延命措置によって、船が沈むのを遅らせても状況は何も変わらない。