連続起業家が見たNetflixの起業家ドラマ – WirelessWire News
「連続起業家が見たNetflixの起業家ドラマ – WirelessWire News」がちょっと面白い。
「清水 亮(しみず・りょう)
新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。」
「あまりそう名乗ることは少ないが、筆者は実質的に連続起業家である。これまでに立ち上げに関わった法人は15社。その前に働いていたスタートアップを含めればもっと増える。うまく行った事業も、そうでない事業もたくさん経験している。したがって、この作品のリアリテイを語る資格はそこそこあると思う。」
「まず、起業家にとって必要とされる資質について、それを三つのキーワードにまとめるとすれば、バカ、誠実、そして情熱である。
そもそも、起業とは馬鹿な思いつきから始まる。馬鹿でなければ起業家になれない。利口な人間には向いてない。」
「次に、誠実さ。ストーリー的にはルイ・ジエが合流する少し前絵だが、サンティは当初、カニングループのカニン総裁に誘われて中国のイージーエスプレスとの提携を模索する。提携にあたり、視察に来た中国側の人々にサンティはサクラを使ってタイの宅配事業を有望に見せようとする。提携先の女性責任者シャオユー(彼女もまた中国人の父とタイ人の母を持つ)に賄賂を渡して説得しろと言われたサンティは賄賂を渡す寸前に、土下座して罪を自白する方を選ぶ。イチかバチかの危険な賭けだったが、シャオユーはサンティの潔さに感銘を受け、カニングループはイージーエクスプレスとの提携に成功する。「物語的な演出だろう」と思うかもしれないが、現実のビジネスの場でもこういうことは起きる。大金を持った人は、面倒ごとを大金で強引に解決しようとする傾向を持っている場合がある。そういう相手には注意が必要だ。」
「最後に、情熱。この物語の全体を貫くテーマは、まさにここにあると言ってもいいだろう。どんな卑劣な妨害をされても、絶望的な状態になっても、決してめげない、戦い続けるサンティの姿は多くの視聴者の共感を呼ぶはずだ。起業家は情熱を失ったらおしまいである。」
「飛行機の中で偶然カニンと出会うエピソードは、実は意外とリアリティがある。カニンがサンティの若さと勢いを買ったのは事実だろう。実際、信じられないかもしれないが筆者もドバイ行きの飛行機でエコノミークラスを取ったら偶然隣り合わせたのが友人の株式会社SHIFTの丹下社長だったことがある。その時はビジネスクラスが満杯で、「仕方ないから酒飲んで寝ちまおう」と思って売店でしこたま酒を買い込んで来たのだが、見ると丹下さんも同じように酒とツマミを買い込んでいたのを見て笑ってしまった。その日はドバイまで飲んだくれて、ドバイの空港で日経新聞の記者が偶然合流して、目的地のバルセロナに向かった。大きなイベントがある時に知人と同じ便になるということはよくある。あるとき、新幹線に乗ったら、隣が偶然長岡市長だったこともある。」
「ルイ・ジエとそのチームの描き方は本作で最もリアリティのあるものの一つだ。実際、今の日本では無理だと思うが、1990年代のドワンゴではダンボールハウスが社内のあちこちに建てられ、朝まで会社にいるのが普通だった。ただ、一つだけ大きく違うのは、ドワンゴでは誰も仕事なんかしてなかったということだ。ただ、家に帰っている間に何か面白いことが会社で起きてしまって、それを目撃できなのが悔しいと思うと、なんとなく会社に泊まるような習慣がついてしまっただけだ。画面も誤魔化さずターミナルをちゃんと作り込んであり、gitコマンドも使っている。こういうところを嘘にするとこの手のことがわかる人は一気に白けてしまうから正解だったと思う。」
小松 仁
