実用的な量子コンピューターとは何か 重要な指標とは?〜第5回 量子コンピューティングEXPO【春】講演より〜 - DG Lab Haus
「実用的な量子コンピューターとは何か 重要な指標とは?〜第5回 量子コンピューティングEXPO【春】講演より〜 - DG Lab Haus」がちょっと面白い。
「2025年4月15日から17日、東京ビッグサイトにて、NexTech Week2025【春】(第5回 量子コンピューティングEXPO【春】)が開催され、その中で「実用的な量子コンピューティングへの道:最新のブレークスルーと重要な指標」と題された講演が行われた。
講演にはQuEra Computing Inc.(以下、QuEra社)Presidentの北川拓也氏と、慶應義塾大学 理工学部 教授/量子コンピューティングセンター センター長の山本直樹氏が登壇。「実用的な量子コンピューターとは何か?」「重要な指標は何か?」「注目すべき出来事は何か?」をテーマに議論が交わされた。」
「北川氏が代表を務めるQuEra社は、米国のハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の教授陣が共同で創業した会社で、中性原子方式の量子コンピューターを開発している。
中性原子方式の量子コンピューターは、レーザーを用いてルビジウムなどの中性原子を格子状に並べ、その挙動をコントロールする仕組みとなっている。最大の特徴は量子ビットをたくさん並べやすいことで、並列計算の能力が他の方式に比べて非常に優れていると言われている。」
「山本氏は、量子コンピューターは基本的にアルゴリズム設計が極めて難しいが「この量子アルゴリズムをAIで見つける動きが出始めている」と説明を加える。
「実際に現行コンピューターでも、AIが(これまで)50年間見つけられなかった行列乗算アルゴリズムを見つけた事例が雑誌『nature』に掲載されました。ああいったことがあるのなら、実は量子でもできるのではないかということは、やはり期待してしまいますね」(山本氏)」
「続いてのテーマは「実用的な量子コンピューターの実現を示す指標としてどのようなことに注目すべきか」だ。
まず山本氏が「コヒーレンスタイム(量子重ね合わせや量子もつれを維持できる時間)の長さ」を挙げる。これに加えて北川氏は「誤り(エラー)率」と「(物理および論理)量子ビット数」も重要な指標になると述べた。」
「さらに二人は「ブレイクイーブンも指標のひとつになる」と述べた。ここで言う「ブレイクイーブン」とは論理量子ビットの有用性に関することだ。量子コンピューター開発では、たとえば100個の量子ビットを束ねて1つの論理量子ビットを作るといったことをする。この1論理量子ビットで起こるエラーと、1物理量子ビットで起こるエラーの数を比べて「論理量子ビットの方が良くなる」閾値があり、これを「ブレイクイーブン」と呼ぶ。
現在ブレイクイーブンを達成しているのは、グーグル社やQuEra社などに限られ「ブレイクイーンを達成した・しない」ということも、企業の進捗を図る重要な指標になるとのことだ。」
第5回 量子コンピューティングEXPO【春】で登壇したQuEra社Presidentの北川拓也氏(左)と、慶應義塾大学 理工学部 教授/量子コンピューティングセンター センター長の山本直樹氏(右)
小松 仁
