MIT Tech Review: 動き出した「静かな巨人」、中国発のAIモデルが世界に与えた驚き
「MIT Tech Review: 動き出した「静かな巨人」、中国発のAIモデルが世界に与えた驚き」がちょっと面白い。
「中国のディープシークが今年1月に公開した大規模言語モデルは、その驚異的な低コストと高性能で世界のAI業界に衝撃を与えた。米国主導で進んできた生成AI開発に、中国が新たな競争軸を突きつけたのだ。この「静かな巨人」の台頭は一時的な現象なのか、それともAI開発の潮流を根本から変える転換点なのか。」
「2025年4月22日に開催された「Emerging Technology Nite #32」では、「生成AI革命4―中国発AIがもたらすパラダイムシフトの可能性」と題し、ジャーナリストの高口康太氏とアリババクラウド・ジャパンサービスの藤川裕一氏が登壇。中国発AIの最新動向について解説した。」
「DeepSeek-R1が高性能・低コストを実現できた背景には、強化学習によって推論能力を鍛える手法や、MoE(混合エキスパート)の改善、メモリ効率を向上させるMLA(マルチヘッド潜在アテンション)といった技術の採用が挙げられる。これらの技術により、計算量を抑えながら高性能なモデルの構築を実現しているという。」
「ディープシークが与えたインパクトは、技術面だけではない。高口氏は「世界のディープシーク・ショック」と「中国のディープシーク・バブル」という2つの側面から解説した。前者は「中国からすごいAIが出てきた」という地政学的な不安と、低コストのAI技術の登場による経済的不安を含む。後者は中国国内でのAIブームの加速を指す。「中国国内ではDeepSeek -R1のリリースから1カ月で政府機関や大手企業だけでも約200社が導入を発表し、自動車業界では『DeepSeekのモデルを搭載していない車は売れないのでは』と業界紙の記者が話すほどの勢い」(高口氏)だという。」
「なぜ、中国からこれほど競争力のあるAI技術が生まれたのか。高口氏は、その背景として中国の膨大なAI人材の存在を指摘した。「エリートAI研究者の数で見ると米国が多いものの、元々の出身地を見ていくと中国が圧倒的に多い。世界のAI人材の半分は中国人だと言えます」(高口氏)。
さらに中国のエンジニア数は米国の9倍、理系の大学卒業生は15倍ともいわれる。「単に人口が多いだけではなく教育熱も非常に高い。実際、ディープシーク創業者の梁氏は農村の出身ですが、農村でもしっかりと基礎教育を受けさせ、成績がよければ一流大学に行かせたいという親が多い」(高口氏)。」
「アリババクラウド・ジャパンサービスの藤川裕一氏は、同社が提供するAIソリューションと、LLMである「Qwen(クウェン)」について紹介した。」
「「米国と中国のAI開発アプローチの違い」についての質問に対し、高口氏は「シンギュラリティを追う米国と、プラグマティズム(道具主義)の中国」と表現した。オープンAIなどは「シンギュラリティを実現する」という高い目標を掲げ、「人間を超えるAIを作るために、あと5年、10年赤字を続ける」という姿勢が目立つという。」
「「中国の人型ロボットと日本のサービスロボットの関係」という質問には、中国では人型ロボットの国家発展戦略が進んでおり、「AIはロボットの大脳に当たる部分」として重視されていると高口氏は説明した。ハードウェア部分では中国が優位にあるため、「世界中で中国のサービスロボット、人型ロボットが普及する確率は相当高い」と予測した。」
小松 仁
