MIT Tech Review: 資金流入で競争加速、2025年のロボット開発はどう動く?

 

MIT Tech Review: 資金流入で競争加速、2025年のロボット開発はどう動く?」がちょっと面白い。

 

「ジェームス・オドネル [ James O'Donnell ]

米国版 AI/ハードウェア担当記者

自律自動車や外科用ロボット、チャットボットなどのテクノロジーがもたらす可能性とリスクについて主に取材。MITテクノロジーレビュー入社以前は、PBSの報道番組『フロントライン(FRONTLINE)』の調査報道担当記者。ワシントンポスト、プロパブリカ(ProPublica)、WNYCなどのメディアにも寄稿・出演している。」

 

「人型ロボットの実用化テストが本格化し、AIを活用した新たな学習手法も登場。2025年は実験室から現場へと活躍の場を広げるロボットの価値が問われそうだ。

・人型ロボットが物流などの現場で試験運用され始めたが課題も残る

・ロボットはAIやシミュレーションを活用し想像力から学習できるようになった

・軍事用途を中心にロボットの物理的な能力も大きく進化している」

 

「人型ロボットの開発競争は、「世界は人間の形態に合わせて設計されている」という考えに基づいており、人間の動きを自動化することは、ロボット工学にとって大きな変革をもたらす可能性がある。」

 

「2024年6月、アジリティ・ロボティクス(Agility Robotics)は、自社開発の人型ロボット「ディジット(Digit)」の一団を、ナイキやネスレをはじめとするさまざまな企業の物流を担うGXOロジスティクス(GXO Logistics)に導入した。この人型ロボットは、パレットの積み下ろしや箱のコンベアへの積み込みなど、物を持ち上げて別の場所に運ぶ作業のほとんどをこなすことができる。」

 

「課題もある。鏡面仕上げのコンクリート床では、ロボットが滑りやすくなる可能性がある。また、ロボットを円滑に稼働させるには、施設内に良好なWi-Fi環境が必要だ。

しかし、より大きな問題は充電である。アジリティ・ロボティクスが提供しているDigitの現行モデルは、約18キログラムのバッテリーを搭載しており、1時間の充電で2〜4時間稼働する。そのため、シフトごとに充電済みのロボットと入れ替えながら運用するのが一般的だ。設置された充電ドックの台数が少ない場合、一部の施設が稼働していない夜間にロボットが自律的にドック間を移動しながら充電することも理論的には可能だが、ロボットが勝手に動き回ると建物の防犯システムが作動するリスクがある。「これは問題です」と、アジリティ・ロボティクスのCTO(最高技術責任者)であるメロニー・ワイズは語る。」

 

「戦場用ロボットへの投資も進んでいる。機敏で低コストなドローンがウクライナの農村部で戦場の様相を一変させた一方で、これらのドローンの能力を屋内でも発揮させるための新たな取り組みが進められている。軍需品メーカーのエクステンド(Xtend)は、狭い屋内空間や都市環境を飛び回ることができるドローンの開発で、2024年12月に米国防総省(DOD)から880万ドルの契約を獲得した。このいわゆる「徘徊型兵器」と呼ばれるドローンは、衝突時に爆発する爆薬を搭載した一方向攻撃型の兵器である。」

 

Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Boston Dynamics, Agility AI

 

小松 仁