RIETI - 地方創生2.0を成功に導くために何が必要か

 

「RIETI - 地方創生2.0を成功に導くために何が必要か」がちょっと面白い。

 

「小黒 一正

コンサルティングフェロー

石破政権の柱の1つである「地方創生2.0」を成功に導くためには、「人口問題(出生率の問題を含む)」(①)と「地方の持続可能性」(②)を切り離し、人口減少を前提に、データを真摯に直視した上で、「スマートシュリンク(賢い縮退)」という戦略を基本に据えながら、②の問題に政府が真剣に取り組むことが求められる。この理由を以下で簡単に説明しよう。」

 

「まず、データを直視することの重要性だ。政府は「証拠に基づく政策立案」として、EBPM(Evidence-Based Policy Making)を推進しているが、思い込みや間違ったデータに基づき政策を実施すれば効果が得られないのは当然であり、効果を出すためには正しいデータに基づき政策ターゲットを判断する必要がある。この関係で筆者が重要と考えているデータが2つ存在する。」

 

「1つは、出生率のデータだ。これまでの地方創生では、いわゆる「東京ブラックホール論」(出生率の低い東京に地方から若者が集まることで日本全体の出生率が低下してしまうという仮説)に基づき、東京一極集中の是正を進めてきたが、出生率に関する多角的な指標で都道府県等の比較を行うと、この仮説が間違っている可能性が浮き彫りになる。」

 

「もう1つ重要なデータは、東京に流入する若者の属性に関するものだ。マスコミ等の一般的な論調では、「地方の若者が東京に流入する主な段階は、大学等の進学時点である」と指摘する有識者も多いが、これは誤解だ。これは、住民基本台帳人口移動報告(2023年)からすぐに分かる。このデータによると、2023年での東京への流入超過は男女計で約5.8万人になっている。これは、東京から流出3.8万人と流入9.6万人との差だが、この流入9.6万人のうち、15歳~19歳が占める割合は14.5%に過ぎず、20歳~24歳が占める割合は63.6%、25歳~29歳が占める割合は21.8%にもなっている。20歳~29歳で85.3%も占める。」

 

「このような状況が示す通り、いくつかの都市が消滅することは避けられず、もはや人口減少を前提として、「スマートシュリンク(賢い縮退)」の戦略を基本に据えながら、地方の持続可能性を検討していくしかない。スマートシュリンクについては、国土交通省「今後の市街地整備制度のあり方に関する検討会」の報告書(2008年6月)等でも、「低密度化が進む市街地について、荒廃化を招くことのないよう、一定程度の都市サービス機能は維持しつつ、樹林地等の「みどり」や、耕作地・市民農園等の「農地」に、あるいは二地域居住等に対応した新たな郊外住宅地等の「住まい」への土地利用転換を誘導していくなど、上手に縮退していく(スマートシュリンク)方策」との記載があり、その重要性が指摘されている。この報告書が出てから、15年以上も経過しているが、地方創生2.0を成功に導くためにも、「人口問題(出生率の問題を含む)」(①)と「地方の持続可能性」(②)を切り離し、経済成長率と人口密度との関係性にも留意しながら、賢い縮退の徹底でコンパクトシティの推進等も行い、②の問題に政府が真剣に取り組む必要があろう。」

 

 

小松 仁