「RIETI - 認知的制約がバブル作る?」がちょっと面白い。
プログラムディレクター・ファカルティフェロー
東京大学大学院工学修士、シカゴ大学経済学博士。経済産業省、経済産業研究所、一橋大学経済研究所を経て、2013年から慶應義塾大学経済学部教授。
【兼 職】
慶應義塾大学経済学部教授、経済産業研究所ファカルティーフェロー、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
「人間は期待形成や意思決定をする際、限られた情報収集能力・時間・思考力などの制約を受ける。これらの認知的な能力や持ち時間を「認知的資源」と呼ぶ。人間はこの有限な認知的資源をもっとも合理的に使おうとする。この意味で、人間は「資源合理的(Resource rational)」である。」
「近年、人間の認知的資源の有限性に着目した研究が認知科学・心理学・神経科学・人工知能(AI)研究などの分野に広がる。これらを総称して「資源合理性」の分析という名称も提唱されている。経済学での資源合理性アプローチをいくつか紹介し、資源合理性が貨幣バブル(デフレ均衡)などの研究に与える影響を考えたい。」
「この貨幣バブルの仕組みを応用すれば、2000年代の日本で、金融緩和によって貨幣供給を増やし続けたのにもかかわらずデフレが続いたことを説明できるかもしれない。
デフレとは、財・サービスに比べて貨幣の価値が相対的に上がることである。貨幣供給を増やせば貨幣の価値は下がるはずだが、それが上がったことは、貨幣バブルの発生を示唆している。
資源合理性のアプローチは、再帰性に注目することで、合理的期待理論に新たな展開を生む大きな可能性を秘めているのである。」
小松 仁
