【日本人が知らない 、世界のスゴいスタートアップ Vol.13】新材料発見を加速させる「セルフドライビング・ラボ」 - DG Lab Haus
「【日本人が知らない 、世界のスゴいスタートアップ Vol.13】新材料発見を加速させる「セルフドライビング・ラボ」」(DG Lab Haus)がちょっと面白い。
「連載「日本人が知らない、世界のスゴいスタートアップ」では、海外のベンチャー投資家やジャーナリストの視点で、日本国内からでは気付きにくい、世界の最新スタートアップ事情、テック・トレンド、ユニークな企業を紹介していきます。今回のテーマは、「セルフドライビング・ラボ」です。(聞き手・執筆:高口康太)」
「「アトム(物質)からビット(情報)へ(From Atoms to Bits)」
米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの創設者として知られる、計算機科学者ニコラス・ネグロポンテが繰り返し訴えたフレーズだ。その予言通り私たちの社会において情報が占める重要性は年々高まっている。」
「世界のスタートアップ事情に詳しい台湾の投資家、マット・チェン氏が紹介してくれた。
鄭博仁(マット・チェン、Matt Cheng)
ベンチャーキャピタル・心元資本(チェルビック・ベンチャーズ)の創業パートナー。創業初期をサポートするエンジェル投資の専門家として、物流テックのFlexport、後払いサービスのPaidyなど、これまでに15社ものユニコーン企業に投資してきた。元テニスプレーヤーから連続起業家に転身。ジョインしたティエング・インタラクティブ・ホールディングス、91APPは上場し、イグジットを果たしている。」
「新材料発見の難易度上昇。その最前線に立っているのが製薬です。
――新薬開発は難しいと聞きますね。大企業が大金を注ぎ込んでも失敗してしまうこともしばしば、それで経営が傾きかねないという。
M:その悩みを表す言葉がイールームの法則です。創薬における研究開発費は9年ごとに倍増していくという経験則です。イールーム(Eroom)とはムーア(Moore)のつづりを逆にしたもので、つまりは逆ムーアの法則というわけです。」
「AIとロボットの組み合わせによって、新材料の開発に新たな可能性が見えてきました。
まずはAIの可能性についてです。グーグル傘下のAI企業ディープマインドは2023年末、AIツール「GNoME」(Graph Networks for Materials Exploration)を使用して220万種の無機結晶構造の候補を特定したと発表しました。従来の研究ペースでは800年分に相当する数ですが、これをわずか17日間で実現したのです。マイクロソフトの研究グループも今年初頭、AIツールの成果を発表しました。リチウムイオン電池の改善に必要な新素材を探し出すため、約3200万種の候補からAIが絞り込みを行ったのですが、わずか80時間で18種類にまでしぼりこんだのです。」
「こうした実験自動化に取り組んでいるスタートアップ企業の一つにAtinary(アティナリー)があります。同社は2019年に、ハーバード大学で経済学博士号を取得したHermann Tribukait(ハーマン・トリブカイト)、スイス・チューリッヒ大学および中国・天津大学で量子化学の博士号を取得したLoïc Roch(ロイック・ロッシュ)の2人によって設立されました。Loïc Rochはハーバード大学のポストドクターとして、化学とAI研究に取り組みました。トップジャーナルに50以上もの学術論文を発表した、量子化学とAIにおけるトップ研究者です。)
「彼らが提案したソリューションが「セルフドライビング・ラボ」(SDLabs、Self-Driving Labs)です。AIが素材生成のシミュレーションを行ったあと、ロボットが実際にその素材を生成するのです。この過程は自動化されています。手間のかかる実験の繰り返しはロボットに任せることで、人間の研究者はより高次の研究に集中できるようになるわけです。」
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小松 仁
