MIT Tech Review: 故人のSNSもAI訓練に?「球切れ」で過熱するデータ争奪戦 (technologyreview.jp)

 

「MIT Tech Review: 故人のSNSもAI訓練に?「球切れ」で過熱するデータ争奪戦」(メリッサ・ヘイッキラ [Melissa Heikkilä]米国版 AI担当上級記者)がちょっと面白い。

 

「生成AIブームによってデータ争奪戦が激しさを増している。ネットから無料で収集できる訓練データが枯渇しつつある今、テック企業は新たな金鉱を探している。」

 

「メリッサ・ヘイッキラ [Melissa Heikkilä] 米国版 AI担当上級記者

MITテクノロジーレビューの上級記者として、人工知能とそれがどのように社会を変えていくかを取材している。MITテクノロジーレビュー入社以前は『ポリティコ(POLITICO)』でAI政策や政治関連の記事を執筆していた。英エコノミスト誌での勤務、ニュースキャスターとしての経験も持つ。2020年にフォーブス誌の「30 Under 30」(欧州メディア部門)に選出された。」

 

「ディープフェイクが進化している。本当にすごいのだ。4月初め、私はイースト・ロンドンのスタジオに行き、AIビデオ・スタートアップのシンセシア(Synthesia)に自分のクローンを作ってもらった。シンセシアは私そっくりの見た目と声の超リアルなディープフェイクを、リアルな雰囲気で作ってくれた。かつてのAIアバターの不自然さとは大違いだ。 最終的な結果は、度肝を抜くものだった。私のことをよく知らない人を、簡単に騙すことができた。」

 

「私たちは、これから起こる出来事に対して準備ができていない。もし人々が目にするコンテンツに懐疑的になりすぎれば、何も信じなくなってしまうかもしれない。そうなれば、悪人たちは信頼性のなさを利用して、本物のコンテンツの信憑性について嘘をつけるようになる。研究者たちはこれを「嘘つきの配当」と呼んでいる。研究者たちは、例えば、政治家たちが本当に不利な情報は偽物であるとか、AIを使って作られたものであると主張する可能性があると警告している。」

 

「もう1つ大きな問題がある。人工知能(AI)企業にデータを提供した後、私たちのデータはどうなるのだろうか? シンセシアは、俳優や顧客から収集したデータを販売することはないというが、学術研究目的のために一部を公開することはある。シンセシアはアバターを3年間使用し、その時点で俳優や顧客は契約を更新するかどうか尋ねられる。更新する場合は、スタジオに来て新しいアバターを作る。更新しない場合、シンセシアはデータを削除する。」

 

「データの契約に透明性があっても死後には適用されない、と話すのはウプサラ大学のカール・オーマン助教授だ。同助教授は、故人がネットに残したデータの研究をしており、新刊本『The Afterlife of Data(死後のデータの行方)』(2024年刊、未邦訳)の著者でもある。私たちがソーシャルメディア・プラットフォームやAIモデルにインプットしたデータは、私たちがこの世を去った後も企業に利益をもたらし、生き続けるかもしれない。」

 

小松 仁