MIT Tech Review: 撮れなかった写真がある—— 生成AIでよみがえる記憶 (technologyreview.jp)

 

「MIT Tech Review: 撮れなかった写真がある—— 生成AIでよみがえる記憶」 (ウィル・ダグラス・ヘブン [Will Douglas Heaven]米国版 AI担当上級編集者 technologyreview.jp)がちょっと面白い。

 

「生成AIを用いた「シンセティック・メモリーズ(合成記憶)」プロジェクトは、世界中の家族がカメラに一度も収まることのなかった過去を取り戻す支援をしている。研究者と共同で、認知症の治療での応用も計画中だ。

 

「そのバルコニーに立つマリアの写真はない。しかし、マリアは今、そんな写真を手にしている。バルセロナを拠点とするデザイン・スタジオ、ドメスティック・データ・ストリーマーズ(Domestic Data Streamers)が言うところの、「本物の写真が捉えたであろうシーンを、記憶に基づいて再構築した」写真だ。この偽のスナップショットは不鮮明で歪んでいるが、それでも一瞬にして人生を巻き戻すことができる。」

 

「「シンセティック・メモリーズ(Synthetic Memories、合成記憶)」を通じて、何十人もの人々が現在、このように記憶を画像化している。同社は、オープンAIのDALL-E(ダリー)のような生成画像モデルを用いて、人々の記憶に命を吹き込んでいる。2022年以来、国連とグーグルから資金提供を受けているこのスタジオは、世界中の移民や難民コミュニティと協力して、一度も写真に撮られたことのないシーンの画像を作成したり、家族が前の家を離れたときに失われた写真を再現したりしてきた。」

 

現在90歳のヌリアは、スペイン内戦中、バルセロナの防空壕の外で、中に閉じ込められた人を救出するためにつるはしや斧を持って待機していた男性や少年たちのことを鮮明に思い出す。爆弾の危険をものともせず、信じられないほどの勇気と無私の精神を示した。命がけで人を救った彼らの行動は、ヌリアに忘れがたい印象を残した。今でも彼女は、彼らが着ていた服や汚れたコートを詳細に覚えている。(DOMESTIC DATA STREAMERS)

 

小松 仁